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実はタワマンにもある「水害リスク」。高層階なら浸水の心配はないが…過去には下水が溢れ出す事態も

 沈む車にマンホールから噴出する汚水、水没する街……。河川から離れていようが、高台に住んでいようが油断はできない「都市型水害」。もし、自分が暮らす地域が水害に遭ったら?リスクと命を守る行動について徹底解説!

高層階に取り残される!?タワマンのリスク

生死を分ける[都市型水害]の恐怖

災害時のエレベーター復旧は病院や公共施設が優先されるため、マンションは最後まで取り残される/写真はイメージです

 都市部に乱立するタワーマンション。高層階の住人は浸水の心配はないものの、あるリスクが存在する。 「それが、浸水による電気系統の故障です」と語るのは、住宅ジャーナリストの榊淳司氏だ。
生死を分ける[都市型水害]の恐怖

住宅ジャーナリスト・榊 淳司氏

「’19年の台風19号では武蔵小杉のタワマンが浸水し、地下の電気室が機能停止に。電圧で水を汲み上げられなくなり、トイレが使用できず下水が溢れ出す事態となりました。この武蔵小杉の騒動以降、マンションの電気室を2階や3階に設置することが一般的となっています」  しかし、’19年以前に設計された多くのタワマンでは、いまだ電気設備が地下に配置されており、それが水害時のリスクになっているという。 「水害で電気系統が破壊されると、室内のライフラインはもちろん、エレベーターも利用できなくなります。地域の避難所も集合住宅の住人をすべて受け入れられるほどのキャパはなく、タワマン住人は自宅待機となる可能性も高い。特に、高層階に住んでいる人は部屋に籠城するしかないですね」  そのため、タワーマンションでの防災は備蓄が何よりも大切だ。

必要な備蓄は「最低でも1週間以上」

生死を分ける[都市型水害]の恐怖

ハザードマップで見た晴海フラッグ。運河に囲まれ、まさに陸の孤島。災害時エリア内に取り残される可能性も

「武蔵小杉のタワーマンションは8日で復旧しましたが、当時、被災したのは1棟だけでした。もし広範囲で災害が起きたら8日では済まないはず。水や燃料、簡易トイレ、消毒液などの備蓄は“最低”でも1週間以上必要です」 物件によっては、管理組合による災害対策マニュアルが用意されている。共有部を災害時の簡易避難所として設定していることもあるという。 「これらのマニュアルは管理組合が作成しています。もし中古タワマンの購入を検討しているなら、管理組合がどれだけ機能しているかを確認しておきましょう」  タワマンであっても都市型水害の被害からは逃れられないのだ。
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