窓から腕を出して「来い! 来い!」“あおり運転”してきた黒いセダンが警察に捕まるまで
ニュースなどで頻繁に取り上げられる「あおり運転」。被害者の精神的苦痛は深刻であり、トラウマにもなりかねない。
川の付近の住宅地に住んでいるという加藤好江さん(仮名・30代)は、通勤時に土手沿いの細い道を通ることが多いそうだ。その細い道で起こった驚きの出来事を話してくれた。
「この道は、車1台が通れるほどの幅しかなく、運転が得意ではないので常に緊張して運転しています。
ある日、後ろの車が徐々に私の車に迫ってくるのが見えました。はじめは小さな点のように見えていたのですが、猛スピードで接近してきて、ぴったりと張りついてきたんです」
中年の男性が運転しているようだった。しかし、相手はサングラスをかけていたため、表情は分からなかったという。
「肩をすくめたり、イライラしたりしているような仕草をしていました」
この時、加藤さんの車の後部座席には幼い子どもが座っていたため、安全を最優先に運転をしていた。前方には自転車に乗る高校生たちがおり、道幅が狭い中では追い越すことは危険だったようだ。
「それでも後ろから迫る車のプレッシャーに、無理にでもスピードを上げなければいけないと思って不安になりました」
あおり運転は続いた。
「信号待ちの長い時間が、さらに私を追い詰めました」
緊張の中、やっと2車線の道路に出る交差点に差しかかる。対向車とすれ違えるほどの広さになったものの、待機している車列は長く、通過できるまでには時間がかかりそうだったという。
「その時、後ろの車が急にアクセルを踏んで、信号待ちの列を無理やり追い越していったんです。交差点の脇にある衣料品店の駐車場へ入ろうとしていました」
その瞬間、加藤さんは後部座席に座る子どもに、「見て!」と声をかけた。駐車場には、青い制服の白バイ隊員が仁王立ちしていたのだ。
「運転手は、その存在に気づいていなかったようですね。駐車場をショートカットしようとしたみたいですが、待ち構えていた白バイ隊員に停車を求められていました」
運転手は言い訳をしているようすだったが、現行犯であることは明らかだった。
「私はその一部始終を見守りながら、『お巡りさん、かっこいい!』と賞賛しましたね」
自動車損害保険を扱うチューリッヒ保険は今年、『2024年あおり運転実態調査』を実施。あおり運転をされたことがあるドライバーは72.5%であった。昨年の53.5%よりも大幅に上昇し、この半年間でも24.1%と多くのドライバーがあおり運転に遭遇していることがわかった。
今回は、あおり運転をしてきた相手が警察に捕まるまでのエピソードを紹介する。
川沿いの狭い道での恐怖
「お巡りさん、かっこいい!」
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2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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