レヴォーグの敵討ち!レクサスNXは欧州車に勝てるか?
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
約10年前に登場し、欧州を中心に広がりを見せるダウンサイジングターボ搭載車。そんなエンジン技術のトレンドに乗り遅れた日本でしたが、最近はスバルのレヴォーグなど、日本車でもダウンサイジングターボ搭載車がチラホラと。そんななか、ついに業界の巨人トヨタが動きました!
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清水草一=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=撮影 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆レクサスがアウディに大勝利!日本のモノづくりの底力は健在でした
想像してほしい。韓国の自動車メーカー・ヒュンダイが、日本で高級ブランドの展開を始めるのを。あなたはそれを欲しいと思うだろうか? おそらく99.99999%の日本人は、欲しがるどころか吹き出すだろう。大衆ブランドが高級ブランドに成り上がるのは、とてつもなく困難なことなのである。
つまり、トヨタの高級ブランドであるレクサスが、北米でドイツの高級ブランドと並ぶ存在と認知されているのは、大変な快挙である。
ただしその快挙は北米どまり。日本ではまだまだドイツ御三家より下と見なされているし、欧州では鼻も引っ掛けてもらえず、ディーラーには閑古鳥が鳴いている。それはつまり、ヒュンダイの高級ブランドが、日本で展開しているようなものなのだ! ガーン……。
レクサスが日欧でいまひとつである理由のひとつに、技術的なアドバンテージが乏しいという点がある。レクサスの、いやトヨタのウリはハイブリッドだけ。ヒュンダイにはそれもないわけだが、日本以外ではハイブリッドカーは“退屈”イメージが強く、あまり人気がない。これでは世界を制することはできない。
では、欧州の高級ブランドが誇る技術的アドバンテージの主役は何かと言えば、ダウンサイジングターボである。大排気量エンジンのようなトルクとレスポンスを発揮しつつ、そこそこの低燃費を叩き出すダウンサイジングターボ技術が、日本メーカーには真似できなかった。
つい2か月前、スバルがレヴォーグに国産初のダウンサイジングターボ(1600cc)を搭載したが、タービンの反応がいまひとつ遅く、欧州勢には負けていた(詳細はこちら⇒https://nikkan-spa.jp/664650)。
そして今回は、新型SUVであるレクサスNXに、トヨタ初のダウンサイジングターボ(2000cc・238馬力)が搭載された。ついに巨人が動いたのだ!
スバルの仇をトヨタは討てるのか? 価格が500万円前後のライバル、アウディQ3と対決させてみた。こっちもエンジンは2000ccターボ(211馬力)。本家本元のダウンサイジングターボである。
ダウンサイジングターボのウリは、力強い加速とそこそこの低燃費だが、まず加速はどうか。4WDモデル同士で、赤信号から制限速度までフル加速を試みた。
おおっ、レクサスNX大健闘! 車重が200kgも重いのにほぼ互角。アクセルを踏んだ瞬間からドカーンと加速するじゃないか! アウディに遜色なし。これは合格っす。
⇒【後編】に続く https://nikkan-spa.jp/707794
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