小池百合子都知事vs「東京のムラの掟」(3)――特別秘書・野田数氏の存在

東京都の予算編成のため、各党からのヒヤリング。右側の列、手前から2人目が野田数特別秘書。

権力の源泉・政党復活予算の撤廃


 小池知事は、古参の自民党都議団の権力の源泉の一つであった、東京都の予算編成における「政党復活予算枠」の撤廃を表明した。

 この政党復活予算は、金額は200億円ほどで、この政治儀式を通して、都議会議員は支援団体や都民に対して「要求を通した」として優位に立ち、一方、知事サイドは、予算審議がスムーズになるというメリットがあり、予算提出権のある東京都知事と都議との出来レースの象徴であった。

 この政党復活予算枠は、地方自治体としては東京都だけの慣行であり、ムラの掟でもあった。これを一挙に廃止され、古参の自民党都議団は立場を失った。

 これは、長年の悪しき慣習にあったムラの掟を打ち破る小池知事の勝負手である。一歩間違えれば、知事提出の予算案が議会で可決されないというリスクを背負うのだが、現在の動向をみると、公開の場で事前に各政党から予算要望を聞いており、小池知事の役者が一回り上だ。

 また、都議会議員は、来年の平成29年7月に選挙を控えており、ここで知事に反旗を翻すと、小池政治塾から刺客を立てられるというリスクがあり、強気に出られない。

強烈な二の矢、三の矢を放つ小池知事のバックには


 こうした小池知事の計算づくの二の矢、三の矢は、特別秘書の野田数氏に負っているところがある。

 特別秘書の正式名称は、東京都知事政務担当特別秘書である。

 野田氏は、昭和48年東京都に生まれ、早稲田大学教育学部卒。平成12年から13年にかけ小池百合子衆議院議員の秘書を務める。その後、平成15年から21年まで東京都東村山市議会議員を2期連続で務めた後、平成21年の都議会議員選挙に自民党から立候補して当選。平成24年に自民党から離党して東京維新の会を立ち上げるなどした。

 野田氏が自民党を離党するに至った理由は、朝鮮人学校の補助金問題に関して議会質問をしようとしたことである。当時、この問題はタブーとされており、古参の自民党役員から、質問内容を穏やかにするよう求められた。また、平成23年7月に自殺した樺山卓司都議会議員(自民党所属)と、亡くなる前日も会食しており、自民党都議団の体質に嫌気がさしていた。

 それだけに、野田氏は東京のムラの掟を知り尽くしている。小池都知事は、特別秘書としてその野田氏を重用して、立て続けに二の矢、三の矢を放っている。また、小池政治塾の事務局長も野田氏が務めている。

 こうした構造が理解できれば、小池知事が何を考え、どこに向かおうとしているのかが理解できる。一つひとつの政策や行動に理由があるのである。

 今回出版された『都政大改革』は、小池知事の側近中の側近である野田数氏が、その舞台裏を含め小池知事の政策のバックボーンを描いたものである。

 通常の内幕本とは異なり、書けることと書けないことが峻別されている。しかし、行間を読んで行けば、自ずと次の一手が見える内容となっている。

 来年平成29年も、小池都知事の一挙手一投足から目が離せない。(了)

文責=育鵬社編集部M

都政大改革-小池百合子知事&「チーム小池」の戦い

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