アベノミクス下での「FX・新しいセオリー」をカリスマディーラーが指摘
◆世界が注目するアベノミクスのキーパーソン
「『コーイチ・ハマダはどう言っているんだ!?』。海外のヘッジファンドや金融機関の為替担当者から、そんな問い合わせが今年から急に増えています」
そう話すのは元シティバンクのチーフディーラーである西原宏一氏。コーイチ・ハマダ……浜田宏一氏はイェール大学名誉教授であり、安倍内閣では内閣官房参与に任命された著名な経済学者だ。
「海外勢が注目しているのは『アベノミクス』と、そのシナリオライターである浜田宏一さん。チャートばかりを見ている個人投資家には馴染みがないかもしれませんが、以前から『リフレ派』の巨頭として著名な存在でした。この人の登場で、金融市場の見方にも変化が迫られています」
◆チャートじゃ買えないアベノミクス相場
民主党政権から自民党政権へ、円高株安から円安株高へ、デフレからインフレへ、さまざまな転換が起きているなか、個人投資家もパラダイムを転換させる必要があると訴える西原氏。新たなパラダイムとは?
「個人投資家は値動きばかりを気にして、チャートやテクニカル分析を重視し、一方でファンダメンタルズ分析を軽視しがちな風潮がありました。ただ、昨年末からの円安のような相場の急変時にはテクニカル分析はずっと『買われすぎ』を示し、なかなか取引の機会がない。今の相場はファンダメンタルズが効果を発揮するときなんです」
もうちょい下がったら買ってみようかと思っている間に、あれよあれよと上がってしまって指を加えて見ているだけという人、多かったはずだ。
「『1ドル95~100円程度の円安は許容範囲、110円までいくと問題』と浜田さんは以前から著書で書いていました。それと、海外勢の動向を知っていれば、テクニカルが「買われ過ぎ」でもドルを買えたはずなんです」
西原氏は昨年末、85円台で低レバの中期ポジションを構築済み。10円幅以上の利益を狙っている。
◆金融の勉強が実践に使えるとき!
「これまで日本人がファンダメンタルズ軽視だったのには理由もあります。日本の政策で相場が動くことがほとんどなかったからです。でも今は世界が日本に注目している。今年のヘッジファンド勢のテーマは『円売り』と『日本株買い』、3番目にやっと『ユーロ買い』です。日本の政策は世界から注視されています。そんな彼らの次の焦点は『次の日銀総裁が誰になるか』」
有望視されているのは学習院大学教授の岩田規久男氏や、黒田東彦アジア開発銀行総裁、岩田一政・日本経済研究センター理事長、それに元財務次官の武藤敏郎氏などだが――。
「『誰がなるか』というだけでなく、『どんな持論を持った人なのか』まで注目すれば、相場の先行きが予測しやすい。今はファンダメンタルズを勉強する格好の機会なんです。浜田さんの評価が高いのは岩田教授のようなので、その著書を読んでみるとか。それが収益にもつながりますし、政治や金融の勉強に興味が湧くはず。せっかく投資するなら、『いくら儲けた・損した』だけではもったいないですから。まずは最大のキーパーソンである浜田さんの著書から読んでみてはどうですか」
個人投資家からの信頼も厚いカリスマディーラーの言葉、どう受け止めるかはあなた次第だ。
【西原宏一】
青山学院大学卒業後、1985年、大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行、為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリ・ディーラー等を経て、現在、株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO。今春に初の著作が刊行予定。http://www.ck-capital.jp/
<構成/高城 泰>
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