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コロナ禍で拡大する“投資格差”。 お金偏差値を上げる方法とは/足立武志

コロナ 投資

写真はイメージです

 格差社会といわれて久しい。2020年、世界を襲ったコロナ禍でも格差は世界的に拡大した。中でもひときわ目立つのが「投資格差」。コロナ禍で給料が下がり、中には解雇された人もいる一方で、株式市場はバブル後最高値を更新。株に投資していた人はコロナ禍でも資産を増やすことができている。  12月25日に新刊『お金偏差値30からの株式投資』を上梓した足立武志氏とともに、貯金でしかお金を増やせない人から投資できっちりお金を増やせる人になる方法を考えてみた。 給料と日経平均株価の格差

投資している人としていない人の格差はますます広がる一方

 まずは、上図を御覧いただきたい。これは、1991年のバブル崩壊後からの民間の会社員の給与所得(国税庁統計)と日経平均株価の推移を比べたもの。 「図を見ても明らかなように、赤い線で示した民間給与はアベノミクスが始動する前年の2012年まで一貫して右肩上がりでした。日経平均株価も右肩下がりが続きましたが途中、株価が上昇しても民間給与が上昇することはありませんでした。2012年末に始まったアベノミクス相場で株価は急上昇、ようやく民間給与も上向きに転じましたが、株価の伸びに比べて給与の伸び率ははとても低いことがわかります」(足立氏)  2020年、コロナ禍にもかかわらず株価はバブル後最高値を更新中。一方、まだ統計は出ていないものの、このコロナ禍で2020年の民間給与は下がることはあっても、上がることはないだろう。  つまり、株価とサラリーマンのお給料の間には深~い「溝(ミゾ)」があり、働いて稼いでいるだけの人と稼いだお金の一部は株式投資に回している人の「投資格差」はますます広がっているといえるのだ。

他人に依存するのではなく自ら勉強して金融リテラシーを身に付ける

「むろん、『儲かる株を教えて』と訊いて、他人から勧められた株を買って儲かるほど株式投資は甘くはありません。そこで『なんだ、損してしまう可能性もあるなら、絶対やらない』と投資を諦めるか、それとも、失敗を繰り返しながらもなんとか致命的な大打撃を受けないような知識やノウハウを自分なりに体得し、少しでも利益を上げ続けることができる技術や手法をきちんと身に付けられるか、それが『投資格差』を自ら解消できるかできないかの差になってくると思います」  まずは、投資に関する金融リテラシーをしっかり身に付け、投資でしっかり利益を出せるようにする必要があるのだ。 「たとえば、インフレになるとお金の価値は下がり、デフレになるとお金の価値は上がる、というのは基本的な投資リテラシーの一つといえるでしょう。この原理をしっかり頭に入れていると、インフレのときほど銀行にお金を預けっぱなしにしているよりも、株式投資をしたほうが利益を上げやすいということがわかるはずです。日本はデフレ、デフレといわれてすでに20年が経過しましたが、日銀はアベノミクス相場が始まった2013年以来、デフレ脱却を掲げて、お金をじゃぶじゃぶ市中に流す量的金融緩和を続けています。インフレを志向する金融政策が2012年末以降、株式相場が好調な理由にもなっているのです」
アベノミクス以降の日経平均株価

アベノミクス以降の日経平均株価(チャート画像提供:楽天証券Market SpeedⅡ)

 上図はアベノミクスが始動した2012年末以降の日経平均株価だが、上下動はあるものの、約8年で2.5倍以上の上昇が続いており、この間、株に投資していた人は全体で見ると大きく資産を増やすことができた。  コロナ禍以降、各国の中央銀行や政府は史上最大規模の金融緩和や財政出動を繰り返し、記録的に落ち込んだ景気が少しでも回復するように世の中にお金を大量供給している。その資金の一部が株式市場に流れ込み「コロナでばたばた人が死んでいるのに株価は史上最高値更新」という奇妙な現実を生み出しているのだ。
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「楽しむ、勉強する」気持ちが大切
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お金偏差値30からの株式投資

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