日朝交流イベントで目撃した「某拉致被害者家族の光景」
3月10~14日、北朝鮮による拉致被害者・横田めぐみさんの両親である滋さん、早紀江さんと、めぐみさんの実子とされるキム・ウンギョンさんがモンゴルで面会した。
第二次安倍政権下において、初めて拉致問題に動きが見られたといえる。
北朝鮮に対しては「対話と圧力」をもって臨むのが日本政府の一貫した立場であるが、このたびの面会の実現には、拉致被害者家族の心境や立場の変化も無関係とはいえないだろう。
それを窺うことのできる証言がある。
2010年、神奈川県S市にて世界平和をテーマとする某イベントが行われた。そこには、拉致被害者家族の某氏も招待されていたという。イベントの出演者は、そこで“とある光景”を目にしたと話す。
「『リムジン河』という、南北分断をテーマにした朝鮮舞踊がありました。仲良く遊んでいた二人の主人公が南北を横断するリムジン河に引き裂かれ、統一後にまた再開するという内容のダンスアンサンブルで、在日朝鮮人音楽家の作曲によるものです。その後、某氏が壇上に上がってきて、感動にむせびながら『我々の苦痛は、自分本位のものではないか』といった内容のことを話し始めました。つまり半島には半島なりの問題があり、歴史的に日本も無縁ではなく、共有する部分がある、といった意味だったのでしょうか? いずれにしろ、そのような発言をするとは予想だにしなかったので驚きました」(※「リムジン(림진)」とは「北」での発音で「南」の発音でいうところの「イムジン(임진)」と同じ)
某氏はさらに、『半島が早く統一することを願う』ともコメントしていたという。
「全拉致被害者の救出」を目指すご家族だからこそ、引き裂かれた人の悲しさがわかったということなのだろうか。
別の出演者はこうも語る。
「ただ、そのイベント自体がすでにカオスでした。出演を当日ドタキャンした韓国人舞踊家をその場にいないのに大絶賛し、観客への謝罪はなし。続いてコメンテーターが北朝鮮を猛烈に批判……からの朝鮮舞踊4時間、それを見た某夫妻が感動コメント、という流れでしたからね。まるで意味がわからなくて。ほかにも音響は途切れるわ、出演料の支払いは異様に遅いわで、めちゃくちゃでした。出演者の中にはとある北朝鮮系のイケメン楽器奏者もいたのですが、主催者は北朝鮮を猛批判する割には彼をジャニーズのように持て囃しており、MCも彼に対するラブな話ばかり。主催者が彼に会いたいがためだけに開催したのでは?と我々の中で噂していましたよ。まあ、世界平和がテーマということで、色んな要素がゴッチャになってしまたんでしょう(笑)」
「拉致被害者を救う会」は北朝鮮との対話路線を主張した蓮池透さん(拉致被害者・蓮池薫さんの実兄)が除名処分を受けるなど、内部に意見の対立が存在することが報じられている。
また拉致問題対策本部の内紛劇についても、週刊SPA!2012年2月7・14日合併号で報じている。
小泉元首相の訪朝、「日朝平壌宣言」発表から11年余り。
拉致被害者も年齢を重ねていく中、拉致問題で既得権益を得ようとする外野は排除し、あくまで被害者の本意を汲みとった活動が求められている。
<取材・文/安宿緑>
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