デジタル

ゲームセンターの復活に必要な起爆剤とは?

消費税の増税を前に、多くのゲームセンターが閉店して話題になった。その理由を専門家や関係者に聞き、業界が生き残る道を探る。 ⇒【前編】「消費増税でトドメ!? 苦境の「ゲーセン」どう生き残る?」https://nikkan-spa.jp/618292 ◆知的財産や蓄積された産業資産の活用がカギ
ゲームセンター

ぷよぷよ!!クエスト

 ゲームセンターを取り巻く環境は厳しいものの、明るいニュースも存在する。その1つとしてゲームセンター関係者のS氏が挙げたゲームが、’13年の11月に稼働し始めたセガのパズルゲーム『ぷよぷよ!!クエスト アーケード』だ。本作は、ゲームセンター初となる、基本プレイ無料のゲームで、一部の課金要素によって利益を得る仕組み。『ぷよぷよ!!クエスト』は、もともとスマートフォンアプリとしてリリースされ、2月上旬に700万ダウンロードを突破するほど、高い人気を誇っている。 「『ぷよぷよ!!クエストアーケード』は、普段お店で見かけない人が、多くプレイしており、盛り上がってますね。また、限定カードが獲得できるキャンペーンが行われたときは、たくさんのお客さんが来店されましたね」(S氏)  ゲームを開発したセガも手ごたえを感じており、同社の広報担当者は「今後、ゲームセンター市場を盛り上げていくためには、コア層だけでなく、スマホアプリなどで気軽にゲームを楽しんでいるカジュアル層のユーザーも、カバーしていく必要があります」と意気込みを語ってくれた。
ゲームセンター

ヒーローバンク

 また、カジュアル層を取り込む動きは、スクウェア・エニックスとガンホーがタッグを組んで手掛ける『パズドラ バトルトーナメント -ラズール王国とマドロミドラゴン-』にも期待できる。セガも『甲虫王者ムシキング』などで“子供向けアーケードゲーム”というジャンルを切り拓いた経験を生かし、今夏稼働予定の『ヒーローバンク アーケード』で、改めて小学生を中心としたキッズ市場にチャレンジするという。 ⇒【写真】はコチラ
https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=618345
「『ヒーローバンク』では、キャラクターをはじめとしたIP(知的財産)を軸に、ニンテンドー3DS向けゲーム、アーケードゲーム、漫画、アニメ、プライズ、トレーディングカードゲーム、玩具など、多角的にさまざまな事業を出口とした展開を同時に行い、コンテンツ間の連動など、IP価値の最大化を目指します」(セガ広報担当者) ◆メーカーの垣根を越えた協力が業界を盛り上げる  こうしたメーカーの取り組みがある中で、立命館大学先端総合学術研究科の川崎寧生氏は「ゲームセンターに新規の客層やリピーターを取り込むためには、新作ゲーム機の開発と併せて、ノウハウを生かした取り組みが復活のポイントになる」と言う。 「例えば、30年以上もの蓄積がある名作アーケードゲーム機の需要を再生したり、ゲームセンターにある多種多様な楽しみ方を積極的に発信するなど、これまでゲームセンター産業が残した資産の効果的運用を行うのも、必要不可欠です」  産業資産を運用する取り組みは、セガとタイトー、バンダイナムコゲームスが、アーケード用音楽ゲームを通して行うコラボ“ゲーム ミュージック トライアングル”に期待できそう。これは、3社がメーカーの垣根を越えて協力する取り組みで、各社のサウンドチームが往年の人気ゲーム楽曲を新しくアレンジして各社の筐体で同時配信し、以降もさまざまな企画を展開するというもの。  ゲームセンターの復活に必要な起爆剤は、揃いつつある。増税にも打ち勝てるメーカーの勝算に期待したい。 【川崎寧生氏】 立命館大学先端総合学術研究科表象領域。ゲームセンターの社会的役割の分析など、研究を行っている 取材・文/黒田知道 ― 苦境の「ゲーセン」、どう生き残る?【2】 ―
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