30~40代既婚男性の3割以上「生活が困窮している」
これまで、「貧困」といえば、20~30代の非正規労働者で単身者を指すキーワードだった。それが今、既婚男性にもしのびよっている。今回、「30~40代、年収600万円以下の正社員の既婚男性659人」にアンケート調査をおこなったところ、3割を超える200人が「生活が困窮していると感じる」と回答したのだ。
年収が大してあがらないこの時代だからこそ、さほど無駄遣いをしてなくても、予期せぬことが勃発すれば家計は火の車に……。ここでは、貧困家族の生き地獄な日々をお届けしよう。
◆給料カット直前に住宅購入。転職もできず生殺し状態
――――安藤雅一さん(仮名・45歳・教科書販売)の場合
7/15発売の週刊SPA!に掲載されている『新型[貧困家族]生き地獄ルポ』では、上記のようなケースを7例紹介。それぞれにファイナンシャルプランナーによるアドバイスも掲載している。また、「貧困家族」を自覚している200人に「生活が困窮した原因」「貧困を実感する瞬間」「収入を増やす策」「生活が破たんしたらどうする」などをアンケート調査。まさに“明日は我が身な”この社会問題を、多角的に検証している。 <取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>
<DATA>
世帯年収:580万円
結婚歴:20年
貯金:0円
子供:1人(15歳)
住居:マンション所有(新築)
ローン:月14万円(残り34年)
新卒後、大手OA企業を皮切りに転職を繰り返してきた安藤さん(仮名)。6社目となる現在の教科書販売会社に営業職として入社したのは、今から5年前のことだった。
「当時は給料も悪くなかったんですよ。入社2年目には、額面で36万円まで上がりましたから。ところが本業の業績が悪化すると、昨年に入ってから給料も32万、30万とジワジワと下がり始め、現在は28万円。本当に苦しいですね」
安藤さんの場合、貧困に陥った理由ははっきりしている。昨年、新築マンションを3800万円で購入したのだ。頭金500万円、毎月のローン支払い額は14万円(管理費込み)になるという。
「最後のチャンスかなと思い、思いきって買ったんです。そうしたら、その直後から給料が下がり始めた(笑)。家は手放したくないけど、こんなことになるなんて想像もしていなかったです」
現在、奥さんも契約社員としてメーカーに勤務。月に20万円ほど稼ぐ。だが、月14万円の住宅ローンと月12万円の一家の生活費は夫が出すことになっている。
「つまり最低でも月に26万円は稼がないと、自分が自由に使えるお金がないということなんです。額面28万ということは、手取りで22万円くらいですからね。しょうがないから、今は自分のへそくりを切り崩して生活していますよ」
こうなると、営業先で入る喫茶店代も出せない。同僚とランチを食べる金もないので、最近は出社前におにぎりを作っている。飲みに行くなんてもってのほか。晩酌は81円の安い発泡酒である。
「息子の教育費も痛いですね。今年4月に私立大の付属高に入ったんですが、授業料が50万円で、そこにいろいろ加わり年間100万円オーバーかな。最近、成績が下がってきたけど、何が何でもエスカレーターで大学まで入ってもらわないと、こっちが困る!」
現在は爪に火を灯すような生活を続けているが、夫婦で老後のことを話すと暗澹たる気持ちなるという。なにせ住宅ローンの完済する78歳まで、貯金できる見込みもない暗い道のりが続くのだ。
「このままではマズいのはわかっているから、ハローワークにも通っています。ただ、今の給料以上の転職先は皆無に近いです……」
独学で行政書士の資格取得にも乗り出した。生き方、態度は真面目でも、貧困の落とし穴は容赦なく生活に暗い影をおとすのだ。
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