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SKE48夏の祭典「美浜海遊祭」の裏側にあるそれぞれの人の思い

 8月4日、美浜海遊祭2014でSKE48のスペシャルライブショー当日。この日は会場がある愛知県知多半島に多くのSKE48ファンが集まってくる。この半島の最先端「羽豆岬」を題材にしたSKE48の歌があり、その歌を愛するファンが「聖地」として多数訪れたことから、地元民によって展望台が再建され歌碑が建立されるという「ドラマ」が生まれた。だが、そのドラマとは多分、歌唱メンバーの大矢真那が歌碑除幕式の翌々日、オフィシャルブログに書いたようなものだ。 ――作られたドラマじゃなくて リアルな、生きて暮らすたくさんの人びとが作り上げた生きてる呼吸してる日々。  この言葉を噛みしめながら、そんなドラマの「作り手」たちの話を聞いた。 「羽豆岬」のMVの記念撮影シーンでおなじみの展望喫茶跡の屋上に、若い男性が海を見ていた。 「8月2日のKII公演に当選したので広島からやって来た」という、ふっくさん(18歳)だ。「美浜海遊祭には当たっていませんが、とにかく近くまで行ってみたくて延泊しました。まず初めての羽豆岬に来て、そのあと会場に行くつもり」だと話す。Tシャツの背中には「能あるゆりあは爪を隠す。」の文字。大組閣でAKB48に移籍した木崎ゆりあを応援しつつも、「SKE箱推し」は続けているという。6期の熊崎晴香と北綾巴に注目しているという。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=699762  訪れたファンが推しメンの正規メンバー昇格やAKB48総選挙での上位選抜を祈願して絵馬を奉納することで有名な羽豆神社。多くの絵馬には、ある変化があった。以前は羽豆岬の歌唱メンバーや人気上位メンバーのファンが書いた絵馬が多数を占めていたが、もはやそういった偏りはない。意外だったのはすでに卒業してしまったメンバーの多幸や健康を祈願するものがかなり目立つことだ。しかも書かれた日付を見るとごく最近。また、日本全国のみならず、香港や台湾など東アジア中心に海外のファンのものも目につく。名古屋から60km、電車、バスを乗り継ぐと2時間はかかる僻遠の地に遠方から多数のファンがやってくる。SKE48のファンが時間、空間を超えてメンバーを思う気持ちの強さには驚かされる。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=699765  歌碑建立に尽力した地元、南知多町議会議員の鳥居恵子さんにも羽豆岬のすぐ傍にある師崎港フェリーターミナル前の二葉屋で話を聞いた。この食事・土産物店はタレントの山口智充が以前、番組で紹介し、その後も、ちょくちょくお忍びで食べに訪れるというイカ焼きが有名。鳥居さんの妹のお店だというが現在は病気がちな妹さんに代わって経営を見ているという。鳥居さんは除幕式の日に初めて会食をしたメンバーの様子を振り返る。 「みんな、きちんとあいさつしてくれて本当に礼儀正しかった。わたしも大好きになった」  ファンの人たちの絵馬を時々、神社で見ると「まるで兄弟や家族のような優しさやいたわりの気持ちが伝わってくる。ただのアイドルとは違った存在と思うようになった」という。そんな鳥居さんだが今、大きな悩みを抱えている。フェリーターミナルから出港し、師崎港と渥美半島の伊良湖港(愛知県田原市)を結んできた名鉄海上観光船のカーフェリーがこの9月限りで廃止されることが正式に決まったのだ。観光産業に大きく依存する南知多町は存続を要望してきたが、赤字を理由に廃止されることとなった。 「せっかく羽豆岬の歌で盛り上がってきたのに大打撃です。フェリーは歌詞にも登場する『希望の船たち』のひとつ。とてもショックです。でも、何とか努力して地元が寂れていってしまうのを食い止めたい」  そのために、鳥居さんは「SKEのファンのアイデアも借りて、交流イベントなども考えたい。とにかく連絡を取りたい」と前向きだ。信念を貫いて廃墟となっていた羽豆岬展望台再建、歌碑建立まで尽力した彼女のこと。何かやってくれるだろう。 「卒業した子たちがプライベートで海水浴場に遊びにきて、ここに立ち寄ってくれるんですよ。去年も一昨年も。あたしは真那ちゃん推しなのよ」  そう話す民宿・喜楽屋旅館のおばちゃんはもうファンの間では有名だ。MVではメンバーがかき氷などを食べながらはしゃぐ店として登場。撮影時に「とても親切にしてくれた」(大矢真那)と、今でも慕っている様子だ。 「ファンの人がいろいろ額に入れた写真やステッカーを作って持ってきてくれるんです。真那ちゃんの誕生日が近くなると生誕メッセージを書いてくださいと来てくれたり、この辺りを巡るDVDを作ってくれたり。かき氷もMVで好きな子が食べていたのを注文してくれます」  一つの歌をきっかけに、もう足かけ4年もファンやメンバーとの交流を続けているおばちゃん。やたらとシワを気にしているが、むしろ若返っているように見えた。  そして喜楽屋ではファンの方とも話をした。「昔は矢神久美推しで、今は古畑奈和、北川綾巴推しですが基本は箱推し。ファン歴は3年か4年です。去年、今年と美浜のライブに当たりましたがいづれもここには寄りましたね」と話すのは安城から来た「ひだまり荘」(40代)さん。東京から来たという柴田阿弥推し「みやっち」(27歳)さんも、「SKEはみんな好きなんでぼくも箱推しですね」と。東京から夜行バスで来た二村春香推し「クエ」(19歳)さんも「SKEは突然のメンバー卒業がリアルに怖い。箱推しがいちばん無難かも。二村も高3で勉強がたいへんと言っているのでさきぽん(竹内彩姫)に保険かけようかな」と言って一同の爆笑を誘った。箱推しファンが本当に多いことに驚いたが、ゆえに彼らはメンバー全般についてよく知っている。SKEのファン同士は初対面でも話が弾みやすいと感じた。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=699768  ライブ終了後のファンの満足度はどうだったのか。折戸愛彩(4月で卒業)推しで、今はどうしようか考え中だという「み~くん」(22歳)さんは「遠いけど今年も来た甲斐があった。前の方の席で宮前杏実とよく目が合った。彼女は次の推しメン候補です。日高(優月)さんとか、おしりん(青木詩織)、あと(二村)春香は俺が守るんで」と早くも次期推しメン候補が発見できた様子。春日井から来た高柳明音推しの「ほのほ」(17歳)さんは当日誕生日だった。「明音ちゃんがめっちゃかわいかったです。世界一かわいかった。カップリング曲初披露、浴衣、水着を見られたのがよかったです」と満面の笑みを見せた。 ⇒【vol.2】「東海テレビ・稲吉豊プロデューサーに構成・演出上で配慮したことなど聞いてみた」に続く https://nikkan-spa.jp/700568 <取材・写真・文/竹内一晴 写真提供/東海テレビ(中継機材関連)>
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