100mほどの道の両端には色とりどりのネオンが光り、西部劇に出てくる私娼窟さながらの光景が眼前に広がる。女のコたちの呼び込みと店内から流れ漏れるテクノ・サウンド、そして男女の嬌声……。熱気と喧噪の中を歩くだけで気分が高揚してくる。
「来たで来たでぇ、やっぱりバンコクは血が滾ってくるの――――ッ!」
(『ミナミの帝王』調で)
まさに夜のアミューズメント。店ごとに内装、コンセプトが違い、入場料も無料なので、ビール1杯(100バーツ程度)だけ飲んで店をハシゴするのがオススメ。特に店内が2層式の構造で、2階の透明なフロアで踊るダンサーを下から覗き見ることのできる「Baccara」は一見の価値ありだ。
ハシゴ酒を繰り返すこと4軒。ギャルたちのドリンクおねだり攻勢に少々辟易としてきた頃、不器用なダンスを懸命に踊る姿が愛らしいチュラポーン(21歳)というコを発見。席に呼び出し、その日、最初のカンパイ。「ご飯食べに行きたい」とペイバー(PB:店外デートのこと)をせがんでくるが、ろくに会話も成り立たないコと1対1で飯を食うのは正直ツラい。
「チュラポーンの友達も一緒に連れていこう。あ、一人、日本語のできるコも欲しいな」
てなわけで中年パワー炸裂のペイバー3人前(1800バーツ)を店に支払い、私服に着替えた女のコ3人をゾロゾロと引き連れて夜の街を闊歩。運河沿いのレストランでディナーと相成った。
「愛してるはラッククン。かわいいねはスゥワイナ」とスイートなタイ語講座を受講しているうちに愛も深まり(アホか?)、酔いも手伝ってディスコへと突入。入店時にウイスキー(1100バーツ)をボトルで注文し、ジャンケン→負けたら一気飲みの無限連鎖へ。悪酔い必至と名高いタイ産メコンウイスキーを5、6杯もノドに流し込めば、完全にアタマがイカれてくる。やおらお立ち台に上がり、黒人ラッパーのようにギャルと腰を密着させてバチャータダンスを披露。爆音で流れるT-POPが脳ミソを弛緩させるのか、女のコのエロ絡みも3割増しでカゲキさを増していく。
異国の夜遊びを盛り上げるのは胸を焦がすような恋の予感ではなく、胸ヤケするほどの快楽体験であることを再認識した夜であった。
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スギナミ 東京都生まれ。主な出没地域は中野、高田馬場の激安スナック。特技は「すぐに折れる心」
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