仮面ライダー1号・藤岡 弘、「本郷猛は私自身。だから演じる必要はない」
――作中、藤岡さん演じる本郷猛が、仮面ライダーゴーストに戦う理由を問う場面があり、師匠が弟子に厳しくも優しく“ライダー魂”を伝授しているかのようでした。一方で本作では、ショッカーを裏切って組織された新たな敵・ノバショッカーが登場。資源エネルギーを牛耳り日本政府を恫喝するという今までにない設定が印象的です。これは現在の日本が抱えるエネルギー問題とオーバーラップしますよね。
藤岡:私は撮影や探検、武道公演などで世界100か国近くを旅する中で、難民救援活動も続けてきました。あまりの惨状に涙し、私自身の価値観がガラリと変わり、生き方にも大きな影響を受けました。そうした体験をこの作品に活かしたかったんです。資源エネルギーや食糧問題など、環境問題に悩まされている国は多い。そこで、エネルギー問題を入れることにしました。
――本作では日本を離れ、平和を守るため、世界中を転戦していた仮面ライダー1号が日本の危機に舞い戻るという設定。まさに藤岡さんの生きざまそのものですね。
藤岡:あの設定が可能になったのは、45年前に『仮面ライダー』のバイクスタントで大ケガを負ったから。生死の境を彷徨い、のちに撮影に復帰しましたが、療養中、本郷猛は海外のショッカーを倒すために海を渡ったことになっていた。「そうだ! これを使えばいい」と。おっしゃる通り、私自身の生きざまと本郷猛が見事に重なったわけです。だから、演じてないんですよ。だって私そのものなんだから、芝居する必要がない。自分が世界で見てきたもの、その体験を語っているだけです。
【藤岡弘、】
愛媛県生まれ。’71年、『仮面ライダー』の主役で一躍ヒーローに。『日本沈没』『大空のサムライ』など主演映画多数。ハリウッド映画『SFソードキル』主演をはじめ、国際俳優としても活躍。父は古武道「藤岡流」の継承者、母は茶道、華道、琴の師範
※このインタビューは4/5発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
取材・文/齋藤武宏 撮影/江森康之 ©2016「仮面ライダー1 号」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
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