「最初は『あぶない刑事』って間抜けなタイトルだと思いました」タカ&ユージが語る『あぶデカ』制作秘話
『あぶデカ』の愛称で30年にわたりシリーズ化されてきた刑事ドラマの金字塔が、ついにフィナーレを迎える。60代半ばとなった舘ひろし、柴田恭兵は、今回もアクションシーン満載の“タカ&ユージ”をどう演じたのか? 2人の熱い語りを読めば、もう「アラフォーはおっさん」なんて言ってられない!?
あの伝説のコンビが帰ってくる。スタイリッシュなファッション、ウィットに富んだセリフ回し、バイクやクルマ、拳銃など、こだわりのガジェット、そして全編にちりばめられたユーモア……。’86年に放映されたテレビドラマ『あぶない刑事』は、それまでのいたずらに重くシリアスな日本の“刑事モノ”とは一線を画し、多くのファンを獲得した。思春期の頃、タカ(舘ひろし)と、ユージ(柴田恭兵)の活躍に胸を高鳴らせた読者も少なくないだろう。30周年の節目となる今年、映画最新作『さらば あぶない刑事』を引っ提げ帰ってきた2人が、作品や演技論から人生論までを、ときにクールに、ときに洒脱に語り尽くした。
舘:今回の映画は、原点に戻りたい気持ちが強かった。ストーリーをしっかりつくって、その上にコミカルな部分を載せる……そういう意味では、1作目の映画に近いですね。
――すべての原点であるテレビシリーズは、当時の日本にはない新しいスタイルのバディモノでした。
舘:それまでの刑事モノって、義理人情や浪花節的な要素が入っていて、観る人の涙を誘うつくりになっていたけど、そういう時代じゃないな、って。そんな悲壮感を否定した初めての刑事ドラマが『あぶデカ』で、個人的に“文化的大事業”と思ってるくらい。刑事モノだから人が死ぬわけだけど、軽いジョークで悲しみを笑い飛ばして、乗り越えていく……『あぶデカ』以前には、こんな刑事ドラマはない。それに、カッコイイことに正面からこだわっていたのも、それまでにない試みだった。
柴田:カッコイイことはいいことだ、って単純に思ってたからね。上の世代は、「カッコイイことは、なんてカッコ悪いんだろう」って価値観だったけど、それは違うだろうって。そして笑い。カッコよくってユーモアもあるってすごく難しいことなので、とにかく数を打って当たればいい、と。台本を読んで、こうすれば面白いかもしれない、っていうアイデアはすぐ浮かぶんです。そこに舘さんが乗っかってくれて、膨らんでいく。まぁ、僕にすれば舘さんが笑ってくれたら、それでもう十分(笑)。
舘:だから、撮影がツラいんです。素で笑っちゃうから、カットが入る。本気で笑っちゃってるのを、そのまま使ったのも多いですよ。背中を向けたタカの肩が震えてたり(笑)。
柴田:観る人に向けてやっていたつもりですが、僕は舘さん一人に喜んでもらいたくてギャグを考えていたのかも。舘さんに受けたら、世界中に受ける確信がありますしね。
舘:そもそも『あぶない刑事』というタイトルがイヤで、『危険な刑事』にしろって言ったんだけど断られて……僕はフランス映画のような、フィルム・ノワールっぽい刑事モノになるんだろうな、って想定してたんです。だから、マイナー・キーで「冷たい太陽」を書いたら、全然違う(笑)。
柴田:僕も間抜けなタイトルだな、って思いましたよ、最初はね。その後、作品がヒットすると「あのタイトルをつけたのはオレだ」っていう人が、大勢出てきました(笑)。
――当時、2人は30代半ば。初共演するにあたり、ライバル心はなかったんですか?
舘・柴田:そりゃ、あったよね。
舘:役者としては真逆のタイプだし、もっとも遠い位置にいる2人。初めは正直、変な芝居をする役者だな、やりづらいな……って思ってました。ただ、一緒にやっているうちに、自分の気持ちが恭サマに対する嫉妬だとわかった。今思えば、『あぶない刑事』をやる前に、恭サマが主演した『チ・ン・ピ・ラ』という映画を観て、カッコイイなって。僕がカッコイイって思った初めての俳優なんですよ。
※このインタビューは1/5発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです <取材・文/齋藤武宏 撮影/大森忠明 ヘアメイク/熊田美和子(舘)、杵渕陽子(柴田) スタイリスト/中村抽里(舘)、越智雅之(柴田) 衣装協力/RYNSHU>

「あぶない」というタイトルがイヤだった
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