ベンチャーの杉ちゃん登場――連続投資小説「おかねのかみさま」
みなさまこんにゃちは大川です。
連続投資小説『おかねのかみさま』29回めです。
今回も六本木「SLOW PLAY」で書いてます。
じゃがりこを2本ずつ食べています。
※⇒前回「イイヤツ」
〈登場人物紹介〉
健太(健) 平凡な大学生。神様に師事しながら世界の仕組みを学んでいる
神様(神) お金の世界の法則と矛盾に精通。B級グルメへの造詣も深い
死神(死) 浮き沈みの激しくなった人間のそばに現れる。謙虚かつ無邪気
美琴(美) 普通の幸せに憧れるAラン女子大生。死神の出現に不安を募らせる
美熟女(熟) 美琴が働き始めた銀座の高級クラブ「サーティンスフロア」のママ。
〈第29回 ベンチャーの杉ちゃん〉
村「あのな、お前はイイヤツなんだよ。いいやつ。俺もお前の学校の先輩だからウチの学校出たヤツはおまえみたいないいやつばっかりだってよく知ってる。だけどな、『イイヤツ』って、どんなヤツだ?」
健「え、えーと、人に迷惑をかけないとか、みんなと仲良くしてるとか、誰かが困ってたら助けてあげるとか、友達が多いとか、あと…」
村「あとなんだ?」
健「要するに!ポジティブな人だとおもいます!」
村「そう。それな。でもな、お前はそれを『なぞる』ことが目的になってるんだよ」
健「なぞる…こと?」
村「そう。しかも形から入るからタチが悪い。こうしたら幸運になるとか、こうしたら金持ちになるとか、こうしたらうまくいくとか、そういうのを形からマネてやってるだけで、それ以外のことをしちゃいけないって思い込んでるだけなんだよ」
健「で、でも!仲良くするのも明るくするのもすごくいいことじゃないですか!」
村「もちろんそうだよ。だけどその結果、お前の人生どうなった?」
健「ぐ…」
村「『ぐ…』だろ。『ぐ…』なんだよ。だけどお前はそんな『ぐ…』を見ないフリして、いつの間にか忘れて、ニコニコ敵を作らないようにしてるだけなんだよ。思ってることも言わず、思ってること自体忘れて、目の前の人間に嫌われないためだけに生きている。いいか?『明るいヤツ』と『明るくあろうとするヤツ』は武蔵小杉と武蔵小山くらい違うんだよ」
健「むさ…」
マ「ま、むらちゃん、この子もまだ若いんだから、そのうちわかるようになるわよ。私だってこの子くらいのときは本当に毎日がパン祭りだったし」
村「おまえの人生は参考にならねぇよ」
マ「傷ついたわー。あ、治った」
健「…」
村「…」
健「ま、ままさん…、僕…、どうしたら、あ、いや…なんでもないです」
村「なんか聞きたいことあったら言ってみろ。」
マ「いいのよ。なんでもきいて」
健「僕…、この先どうなるんですかね…」
村&マ「さぁーーーーーーーーーーー?」
———
——
—
『逆境エブリデイ』 総移動距離96,000キロメートル! 大川弘一がフルスピードで駆け抜けた400日間全記録 |
この連載の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ