お金

ベンチャーの杉ちゃん登場――連続投資小説「おかねのかみさま」

02:04 六本木 フェロモンキングダム 「いらっしゃいませー♡」 「いらっしゃいましたー♡」 「どうもこんにちは」 「すぎちゃんこんばんわー!2名さま?」 「そうね!2名!こちら、おかねのかみさま!」 「どうもー♡」 「すごーい!あたしたちもおかねほしーい!」 嬢B「ねー!」 嬢C「ねー!」 嬢D「ねー!」 嬢E「ねー!」 嬢F「ねー!」 「ま!そのうちね!ささ、カミサマ、奥のVIPルームにまいりましょう」 「ありがとう」 —— — 「おつかれさまでした♡ おかねのかみさまって、お仕事なにしてるんですかー?」 「なにいっちゃってんの!おかねのかみさまはおかねのかみさまじゃない!」 「えー、いみわかんない」 「このひとはね、半年前に僕の前に突然現れたの。僕、ほら、君らも知ってるとおり、ベンチャー起業家でしょ。だからさ、起業家が誰でもそうであるように、毎日の決断に疲れ果てて酒に溺れてたの、四六時中。でもね、そんな僕を見かねたのか、この人が突然現れて、あれこれ教えてくれたっちゅーわけよ」 「むちゃくちゃウサンクサイじゃん」 「わかる。杉ちゃんは説明が下手です」 「まぁ難しいことはいいから、KRUGのおいしいとこもってきてよ!あとバケツ!」 嬢B-F「はーーーーーーい♡」 「でもね杉ちゃん、杉ちゃんはどうしてかみさまとこんなに仲良くなったの? もともとお金持ちだったし、なにも悩んでなさそうだったじゃない。」 「いいこというよね。いうようになったよね。絵里奈だっけ?」 「うん。やっとおぼえてくれた」 「どこ出身だっけ?」 「滋賀」 「そうだ。滋賀の絵里奈。あのね、僕が毎日毎日浴びるように飲んでたお酒は、僕が株売ったお金で、稼いだお金じゃなかったの」 「そうなんだ!」 「まぁね。僕のお金っちゃお金なんだけどね。それはそうと、ウチの会社なにやってるかおぼえてる?」 「えーと、あれよね、ゲームの、なんだっけ、アリンコファンタジー」 「そう!!アリファン!!!アリファンよ〜、やってる?」 「うーん、あたしアプリは写真とかインスタとかしか使わないから、ゲームはやんないの」 「でしょ、わかる。課金とかガチャとか馬鹿みたいだもんね。でもさ、アリンコファンタジーはさ、育てゲーなのよ。果てしない地面の下で、アリンコ育てるの」 「…」 「わかる。そのリアクション。ペヤングの湯切り失敗したときのようなその絶望」 「うん」 「でね、正直競合は一切いなかったんだけど、まったく儲かってなかったのよ。逆にいうと、なんで俺これやってるんだっけレベルでさ、そんな毎日に耐え切れなくなった僕が、体験入店時代の君に出会ったわけ」 「むかしの話はしないで」 「そうね。でだよ、そんな箸にも棒にも引っかからない毎日が嫌になって、たまたま入った五反田のカラオケスナックでB’z歌ってたら、この人が横にいたんだよ」 「…」 「はい」 「で…?」
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「そっからだよ。このひとがすごいのは」
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20_nikkan
逆境エブリデイ

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