ベンチャーの杉ちゃん登場――連続投資小説「おかねのかみさま」
02:04 六本木 フェロモンキングダム
嬢「いらっしゃいませー♡」
杉「いらっしゃいましたー♡」
神「どうもこんにちは」
嬢「すぎちゃんこんばんわー!2名さま?」
杉「そうね!2名!こちら、おかねのかみさま!」
神「どうもー♡」
嬢「すごーい!あたしたちもおかねほしーい!」
嬢B「ねー!」
嬢C「ねー!」
嬢D「ねー!」
嬢E「ねー!」
嬢F「ねー!」
杉「ま!そのうちね!ささ、カミサマ、奥のVIPルームにまいりましょう」
神「ありがとう」
——
—
嬢「おつかれさまでした♡ おかねのかみさまって、お仕事なにしてるんですかー?」
杉「なにいっちゃってんの!おかねのかみさまはおかねのかみさまじゃない!」
嬢「えー、いみわかんない」
杉「このひとはね、半年前に僕の前に突然現れたの。僕、ほら、君らも知ってるとおり、ベンチャー起業家でしょ。だからさ、起業家が誰でもそうであるように、毎日の決断に疲れ果てて酒に溺れてたの、四六時中。でもね、そんな僕を見かねたのか、この人が突然現れて、あれこれ教えてくれたっちゅーわけよ」
嬢「むちゃくちゃウサンクサイじゃん」
神「わかる。杉ちゃんは説明が下手です」
杉「まぁ難しいことはいいから、KRUGのおいしいとこもってきてよ!あとバケツ!」
嬢B-F「はーーーーーーい♡」
嬢「でもね杉ちゃん、杉ちゃんはどうしてかみさまとこんなに仲良くなったの? もともとお金持ちだったし、なにも悩んでなさそうだったじゃない。」
杉「いいこというよね。いうようになったよね。絵里奈だっけ?」
絵「うん。やっとおぼえてくれた」
杉「どこ出身だっけ?」
絵「滋賀」
杉「そうだ。滋賀の絵里奈。あのね、僕が毎日毎日浴びるように飲んでたお酒は、僕が株売ったお金で、稼いだお金じゃなかったの」
絵「そうなんだ!」
杉「まぁね。僕のお金っちゃお金なんだけどね。それはそうと、ウチの会社なにやってるかおぼえてる?」
絵「えーと、あれよね、ゲームの、なんだっけ、アリンコファンタジー」
杉「そう!!アリファン!!!アリファンよ〜、やってる?」
絵「うーん、あたしアプリは写真とかインスタとかしか使わないから、ゲームはやんないの」
杉「でしょ、わかる。課金とかガチャとか馬鹿みたいだもんね。でもさ、アリンコファンタジーはさ、育てゲーなのよ。果てしない地面の下で、アリンコ育てるの」
絵「…」
杉「わかる。そのリアクション。ペヤングの湯切り失敗したときのようなその絶望」
絵「うん」
杉「でね、正直競合は一切いなかったんだけど、まったく儲かってなかったのよ。逆にいうと、なんで俺これやってるんだっけレベルでさ、そんな毎日に耐え切れなくなった僕が、体験入店時代の君に出会ったわけ」
絵「むかしの話はしないで」
杉「そうね。でだよ、そんな箸にも棒にも引っかからない毎日が嫌になって、たまたま入った五反田のカラオケスナックでB’z歌ってたら、この人が横にいたんだよ」
絵「…」
神「はい」
絵「で…?」
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