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スナック「座礁」は男の波止場――連続投資小説「おかねのかみさま」

02:26 蒲田 スナック 座礁 「おい」 「はい」 「お前がさっき歌ってた歌についてなんだが」 「はい」 「人生が紙飛行機なわけねぇだろ」 「すいません」 「簡単に謝るんじゃねぇ」 「すいません」 「むらちゃん飲みすぎー♡ あたしも歌っちゃおうかなー」 「おまえは歌うな」 ーーカランコロンカラーン 「こんばんみー」 「あら学長!いらっしゃーい」 「生きてたかクソジジイ」 「いきてたよー」 「…」 「おっ!なんか若い青年がいるな。名前は?」 「あ、はい!健太と申します!村田師匠に人生とか世の中について教えていただいている大学生です。よろしくお願いします!」 「そうか学生か。こんなヤツの言うこと聞いちゃだめだぞ。どんなにいい学校出ても酒に溺れてポンコツ水没車になる」 「うるせぇよ」 「おふたりは…お、おともだちなんですか?」 「ともだちかー。まぁ、君からみたらともだちに見えるかもしれないけど、大人にはともだち以外のつながりもあれこれあるんだなこれが。そこのポンコツはウチの大学の卒業生で、ワシの教え子でもあった」 「へ?」 「…」 「し、師匠、こちら、学長って、ウチの学校の学長さんですか?」 「違うよ馬鹿。俺がこいつのゼミにいたときになんかすげぇ論文書いたらしいんだけど、他のやつに手柄を横取りされて、酔った勢いでそいつのポルシェに眉毛描いてクビになったんだ」 「まゆげ」 「眉毛くらいいいじゃんっておもうでしょ」 「はい」 「17回描いたんだよ」 「!!!!!!」 「たのしかったなー。夜中に描いてるとき」 「反省しないのが学長の長所よね」 「で、でも、なんで学長って呼ばれてるんですか?」 「『学長になってもおかしくない歳のオッサン』の略」 「フルネームだと長すぎるものね」 「意味変わってるじゃないですか」 「わかっとるわ」 「すいません」 「ねぇ、そういえば聞いたことなかったけど、そのとき手柄を横取りされた 論文ってどんな内容だったの?」 「信用情報の可視化による個人間金銭貸借ネットワークについて(2004)だ」 「さっぱりわかりません」 「お前さてはポンコツのタマゴだな。どこの学校だ?」 「…一緒だっつの」 「あ…」 「の、ノウサギ経済大学です…」 「なんかごめんな。ワシがもっとしっかりしてたら、お前をもう少しポンコツ感のない好青年くらいにしてやれたかもしれないのに…」 「ちっとも救われません」 「ま、ワシの論文もちょっと早すぎたんだろな。今になってやっとなんとなく実現できそうな世の中になってきた」 「簡単にいうとどういう論文だったの?」 「んー、遠くに住んでる知らない人に、15分だけ100円を貸して、105円にして戻してもらうことができる仕組みだ」 「なにそれ。ちっとも儲からないじゃない」 「ちがうんだな。自分が貸す100円もどっかから借りてきて、103円とかにして返すんだ。そうすると15分で2円儲かるだろ。お前らがいかにポンコツでも引き算くらいはできるよな」 「でもさ、自分が3円の利息だけで誰かから100円を借りられるんだったら、ほかの人も105円のとこ選ばないでその人から借りたらいいんじゃない?」 「ほう、ママだけはちょっと賢いな。それこそがこのシステムのポイントだ」 次号へつづく 【大川弘一(おおかわ・こういち)】 1970年、埼玉県生まれ。経営コンサルタント、ポーカープレイヤー。株式会社まぐまぐ創業者。慶応義塾大学商学部を中退後、酒販コンサルチェーンKLCで学び95年に独立。97年に株式会社まぐまぐを設立後、メールマガジンの配信事業を行う。99年に設立した子会社は日本最短記録(364日)で上場したが、その後10年間あらゆる地雷を踏んづける。 Twitterアカウント https://twitter.com/daiokawa 2011年創刊メルマガ《頻繁》 http://www.mag2.com/m/0001289496.html 「大井戸塾」 http://hilltop.academy/ 井戸実氏とともに運営している起業塾 〈イラスト/松原ひろみ〉
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