スナック「座礁」は男の波止場――連続投資小説「おかねのかみさま」
みなさまこんにゃちは大川です。
連続投資小説『おかねのかみさま』30回めです。
今回も六本木「SLOW PLAY」で書いてます。AM3:40です。
隣のファミマがファミチキ揚げすぎて火災報知機が鳴っています。
※⇒前回「ベンチャーの杉ちゃん」
〈登場人物紹介〉
健太(健) 平凡な大学生。神様に師事しながら世界の仕組みを学んでいる
神様(神) お金の世界の法則と矛盾に精通。B級グルメへの造詣も深い
死神(死) 浮き沈みの激しくなった人間のそばに現れる。謙虚かつ無邪気
美琴(美) 普通の幸せに憧れるAラン女子大生。死神の出現に不安を募らせる
美熟女(熟) 美琴が働く銀座の高級クラブ「サーティンスフロア」のママ。
〈第30回 学長と呼ばれる男〉
杉「俺もう、すすってた蕎麦噴き出したね。カメラ3台使って何回も再生してもらいたいくらいに勢いよく噴き出した。それでカミサマに聞いたんだよ。でも何から聞いていいかわかんないから、こう言ったんだ」
絵「なんて?」
杉「『僕、どうしたらいいですか?』って」
神「うんうん」
絵「そうよね。死にたくないし、そもそも何者なんだって感じ」
杉「うん。そうなんだよ。そしたらこの人こう言ったんだ『アリンコファンタジーの致命的な欠陥は、アリが小さすぎるところです』」
絵「あ」
杉「もうね、盲点。育てゲーなのに、アリちっちゃいから身長2倍でもわかんないの」
絵「(あたしもそうおもってた…)」
杉「だからさ、もうなんで俺のこと知ってるとかどうでもよくなって、そっからそのまま会社に行ってブレストよ。で、アリファンのバージョンアップ版を1時間でつくったの。それが『アリンコ大統領』」
絵「なんで大統領なの」
杉「いままでさ、アリ育ててもゴールがなかったんだよね、つまり、デカくなったアリがヨボヨボして死ぬだけのゲームだったの。だけど今度は、アリを大統領にする戦略性を加えたんだよ」
絵「戦略性…」
杉「そう。カミサマのアイデアな。俺も半信半疑だったよ。アリを大統領にしても意味ないじゃん。みんな似てるし、でもさ、ちょうどアメリカの大統領選がアツくなってきて、テレビの取材がわんさか来たんだよ」
絵「おーーーーーー」
神「あれはよかったですねぇ」
杉「もうおどろいたよ。いままでずっとまじめにいいもの作ればみんなわかってくれると思ってやってきたけど、そうじゃないんだ」
絵「え? どういうこと?」
杉「みんなもうね、反射で生きてる。なんも考えてないし、わかろうともしない」
神「ざんねんですが…」
絵「あー、あるかも」
杉「それから俺、心を入れ替えてっつーか、逆にもうどうでもよくなって、アリンコ大統領のオンライン対戦とかマルチプラットフォーム化とかクラウド対応とかアリまつりとか思いつくことなんでもやったんだよ」
絵「すごーい」
杉「わかってないでしょ」
絵「うん」
杉「とにかく、その結果劇的にユーザーが増えて、来期上場することになったの!」
絵「すごーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!!!!!!」
神「上場はわかるんですね」
絵「はい。たくさんいらっしゃいますので」
杉「でもねー、だとしても俺、死んじゃうらしいんだよね」
絵「え???」
嬢B-F「コワーーーーーーーーーい!!!!」
杉「こわいよねー。わかる。でもねぇ、自分が死んじゃう日が正確にわかると意外と怖くないもんだよ」
絵「ほんとに?」
杉「カタカタカタカタ」
絵「震えてるじゃない」
杉「そ、そ、そ、そんなことないよ!人間誰だっていつか死ぬんだから、こんな美人に囲まれて10万円のシャンパン開けてバケツで飲んでる俺って最高の人生に決まってるじゃない!乾杯!!!」
嬢B-F「かんぱーい♡」
神「乾杯」
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