伝説の風俗ルポ漫画家・平口広美(66歳)が老人ホームの職員に…「知らない人に介護現場の厳しさをわかってもらいたい」
――不満という面では、介護の仕事もストレスが多いと思いますが。
「そうですね。実はさっきの施設ももう辞めて、3年前から別の施設で働いているんです」
――そこはどんな施設なのですか。
「辞めたいと考えていた時、特別養護老人ホームが新たにできると聞き、申し込んだんです。同期の職員は70人くらいでした。介護のベテランが半分、素人が半分という方針で。私は素人の扱いでしたが、いろいろと勉強させてもらいました。
はっきり言って、最初のところで何も教わっていなかったので、そこで初めて「排泄」「食事」「入浴」の三大介助が基本であること。名前を確認して、飲み込んでもらえたか確認して、最後に服薬チェックのハンコを押すという、正しい「服薬」のやり方を学びました。
なかでも気を遣うのは、立ち上がりのときですね。やっぱり転倒が一番怖いですから。あと、排泄の介助はしばらく抵抗ありましたね。AVの撮影で、スカトロの経験はありましたが、やっぱり全然違います(笑)。そのあとすぐに食事を取らなきゃいけないので。でも、1週間したらもう慣れました」
――面白い経験ですが、いずれ漫画にする予定は。
「いつか漫画にできればと思っています。最近、介護現場での事件報道をよく目にしますが、どこか職員に共感できるところがあるんです。もちろん、暴力は御法度ですが、知らない人に介護現場の厳しさをわかってもらいたい。私みたいな経歴で、60歳をすぎてこんな体験した人、なかなか他にいないでしょうから」
【平口広美】
‘50年、北海道生まれ。AV男優兼監督、漫画家。漫画雑誌『ガロ』でデビュー。代表作にアポなし潜入取材漫画『フーゾク魂』シリーズがある。最新作は総合マンガ誌『キッチュ vol.07』(スタジオキッチュ)に掲載予定
<取材・文/井野祐真(本誌)>1
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『元祖フーゾク魂』 平口広美のアポナシ潜入日記 |
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