伝説の風俗ルポ漫画家・平口広美(66歳)が老人ホームの職員に…「知らない人に介護現場の厳しさをわかってもらいたい」
AV監督兼、伝説的風俗ルポ漫画『フーゾク魂』の著者として知られる漫画家の平口広美氏。漫画家として活動を続ける一方、現在は特別養護老人ホームの職員として介護職に従事している。「今年で66歳を迎えた」という平口氏が見た、過酷な介護の現場とは――。衝撃のルポルタージュ。
――そもそも介護の仕事をはじめるきっかけは。
「5年くらい前に、ある編集部に新作の持ち込みをしたら、『平口さんの漫画と4コマ以外、ウチは全部再録だ』と言われまして。これはマズイな、と。その頃からエロ漫画誌もエロビデオ会社も一斉に潰れだして。漫画家仲間も次々廃業していた。別の食い扶持を見つけないと、と思うようになりました」
――具体的にどこで仕事を探したのですか。
「まずは求職者支援制度を利用しました。12万円の給付金をもらいながら、パソコンの勉強をして半年間、再就職の斡旋をしてもらいました。ただ、年齢のこともあって結局、就職先は見つからず。仕方なくハローワークに行ったら、『駐車場整備か、介護職員の仕事しかないよ』と言われて、介護職を選びました」
――実際に介護の現場に触れてみて、どう感じましたか。
「もうヒドいものでした。引き継ぎも半日しかなく、前任者からはざっくりした説明のみ。勤務は夜10時~朝8時だったのですが、職員は私だけでした。
そこは一軒家を改造した施設だったのですが、バリアフリーはないに等しく、トイレもポータブル。パーテーションで仕切られた部屋に、ソファーの背を倒した簡易ベッドがあって、そこに5人の入居者を寝かせてました。夜中、入居者が動くと、ベッドに備え付たセンサーが鳴るのですが、いっきに2、3人から呼ばれると、もう大変でした。
あとは介助のほか、朝食も作っていました。本来は栄養士の仕事のはずなんですが、玉子焼きとか、かぼちゃの煮物とか簡単なものを」
――よく事故が起きなかったですね。
「いや。一度、ノロウィルス騒ぎもありました。夜中に入居者の嘔吐が止まらなくて、施設長に電話しても出ない。幸い、1人の感染だけで収まりましたが、私が帰って、夕方起きたら、発熱と嘔吐、下痢が止まらなくなって。医者で整腸薬をもらって、水をたくさん飲んでなんとか治しましたが、結局、原因は不明。深夜手当てもありましたが、そのときの時給は1000円。今思えば、よくやってましたね」
――これまでは介護の仕事についてお話を伺いましたが、それ以前は何かアルバイトはされていたのですか。
「その直前だと、地元のたこ焼き屋で焼き担当のバイトをしていましたね。ただ、それもすぐに辞めてしまいました」
――なにか理由があったのですか。
「東日本大震災がきっかけなんです。震災の日、私は池袋のラブホテルで取材していてですね。プレイが終わって、女のコがシャワーを浴びて、出てきたときに揺れが来たんです」
――すごい状況ですね……。
「はい。そのとき、出口を確保しようとして、とっさに窓を開けたらそのホテルにいた全員が同じ行動をしてて(笑)。
それで、その日、私が夜6時からシフトに入っていたのですが、当然、電車は止まっている。店長に電話しても通じないので、やむなく4時間かけて、お店のあるひばりヶ丘まで歩いたんです。でも、全然心配してくれなくて。メールしても無視するし、もうこんな店燃えてなくなればいいと、怒っていました。それで数日後、『もう帰っていいですか』とだけ言って、辞めました」
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『元祖フーゾク魂』 平口広美のアポナシ潜入日記
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