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“LT”が“レッスルマニア11”ゲスト出演――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第184回(1995年編)

 WWEの映像にLTが初めて登場したのはこの年の“ロイヤルランブル”(1995年1月22日=フロリダ州タンパ)だった。ゲスト・セレブリティーのLTは、第1試合からリングサイド最前列で試合を観戦。実況&解説のビンスとジェリー“ザ・キング”ローラーは「LTが来ています」とドラマの初期モードを設定した。  同夜の第4試合にはWWE世界タッグ王座決定トーナメント決勝戦としてバンバン・ビガロ&タタンカ対123キッド&ボブ・ホーリーのタッグマッチがラインナップされ、トップロープからのムーンサルトを自爆したビガロがキッドにまさかのフォール負け。キッド&ホーリーが新チャンピオン・チームとなった。  試合後、ビガロは「お前、オレのことを笑ったな」とリングサイド席のLTに突っかかり、LTが「それは誤解ですよ」といった感じで笑いながら立ち上がると、ビガロはLTの胸ぐらをつかみ、いきなり両手で突き飛ばした。この“ハプニング”にアリーナはどよめいたが、この場面ではLTが紳士的に引き下がったため乱闘騒ぎにはならなかった。  これが“レッスルマニア11”までつづく連続ドラマのプロローグだった。翌週のTVショーではビガロが「LTに謝罪する」とコメントしたため事態はいったん収拾の方向に向かったが、その後、ビガロが謝罪を撤回。LTもビガロとの“対話”のためWWEのTVショーに再び登場した。LTが動きはじめたと同時にアメリカのメインストリームのメディアもこのドラマに飛びついた。  プロレスラーではないプロアスリートがWWEのリングに登場するのは、“レッスルマニア2”(1986年4月7日=イリノイ州シカゴ、ローズモント・ホライズン)のスーパーヘビー級バトルロイヤルにウィリアム“ザ・リフリッジレーター”ペリーらプロフットボール選手がゲスト出場して以来のことだ。“冷蔵庫”ペリーとLTを比較すると、NFLでの実績ではLTのほうがワンランク上のスーパースターといっていい。  ビンスはあくまでもLTを“レッスルマニア11”のメインイベントに起用するつもりだった。こういうシチュエーションで、こういう相手と闘って、試合を試合として成立させることのできるプロフェッショナルはやはりビガロしかいなかった。
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ビガロは過去にも…
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