ブレット対ストーンコールド=序章――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第235回(1996年編)
全6試合中、第4試合というポジションにラインナップされたブレット対ストーンコールドのシングルマッチ(ノンタイトル戦)は、これからはじまる長編ドラマの“序章”をイメージさせる一戦だった。
試合開始のゴングから10分間はベーシックなマットワークによるチェーン・レスリングのアクションとリアクション。12分過ぎの場外での展開では、ストーンコールドがブレットをモンキーフリップで“スパニッシュ・テーブル(スペイン語実況ブース)”に向かって放り投げ、宙を舞ったブレットが実況アナウンサーのカルロス・カブレラと解説のヒューゴ・サビノビッチと激突。
両者はそのまま“スパニッシュ・テーブル”の下で殴り合いを演じ、乱闘に巻き込まれたコメンテーターのヒューゴが失神するというワンシーンがあった。“スパニッシュ・テーブル”をステージ代わりに使った場外乱闘はその後、ビッグショーにおける定番シーンとして定着するが、これをひとつのトレンドとしてスタートさせたのはこのふたりによるシングルマッチ・シリーズだった。
ブレットは、この試合でプロレスラーとしての“引き出し”の多さをこれでもかというくらいディスプレーしてみせた。20分経過後、ストーンコールドがトップロープからのスーパープレックス(雪崩式ブレーンバスター)で勝負に出ると、ブレットは大きな弧を描いてキャンバスにたたきつけられた瞬間、そのポジションのまま下からトーンコールドの右足と首をスモールパッケージ・ホールドの体勢に丸め込んだ。
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