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ブレット対ストーンコールド=序章――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第235回(1996年編)

 この時点ではまだ未完成だったストーンコールドのストーンコールド・スタナーは、ブレットがカウント2でクリア。ストーンコールドがテキサス・クローバー・ホールドを決めると、ブレットはロープにエスケープ。ブレットがシャープシューターの体勢に入ると、こんどはストーンコールドがすかさずロープに逃げた。こういったこまかいディフェンスのひとつひとつ――サブミッション技で試合が決まるかもしれない可能性を感じさせる場面――が観客の視線を釘づけにした。  ラスト30秒の攻防はひじょうにスリリングだった。ストーンコールドがブレットをミリオンダラー・ドリーム(変形スリーパー)で絞めあげると、グロッギー状態のブレットはコーナーのターンバックル上段を両足でキック。両者がそのまま後方に倒れ込むと、ブレットはさらに上体を後方に反転させてエビ固めの体勢でカウント3を奪った。“レッスルマニア8”でのロディ・パイパーとのシングルマッチでもブレットはこれと同じような動きで一瞬のフォール勝ちをスコアしたことがあった。  この時点でブレットはキャリア18年、39歳。ストーンコールドはキャリア7年、31歳。ふたりとも現役生活のピークを迎えつつあった。この“サバイバー・シリーズ”からプロレス史に残る“モントリオール事件”の舞台となった1年後の“サバイバー・シリーズ”まで、ブレットは文字どおりWWEのリングにおけるラストランを走りはじめたのだった。(つづく)
斎藤文彦

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