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鉄道網が滅亡寸前。やばいのは北海道だけじゃない!?

廃線の決定が観光面での起爆剤となる?

 北海道だけが注目されがちだが、廃線寸前の路線は全国にある。昨年9月には広島県三次市~島根県江津市間を走る三江線の廃止が発表された。
やばいのは北海道だけじゃない! 滅亡寸前の鉄道網

廃線が決まった三江線

「特に山陰地方は滅亡寸前の路線がかなりあります。乗ってみたら鉄道ファンぐらいしか乗客がいないなんてことも珍しくない。ただ、廃止というと『地元住民の生活が!』『風光明媚の地を走るローカル線を守れ!』と感情論ばかり取り上げられますが、実はポジティブな面もあるんです。昨年12月の留萌本線留萌~増毛間の廃止時はコアな鉄道ファンはもちろん、若者からお年寄りまでライト層も集まって、まさにお祭り状態でした。三江線でも廃止が決まったことで話題となって多くの人が訪れるようになった。地域にとって、廃線はある意味で多くの人が訪れる“チャンス”なんです」 ⇒【写真】はコチラ(増毛発最終列車)
https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1282035
やばいのは北海道だけじゃない! 滅亡寸前の鉄道網

昨年12月4日の留萌〜増毛間の最終運行日、増毛発最終列車を見送る沢山の人々

 そこで、三江線は運行本数が少ないため、地元は乗り換えの待ち時間を狙った観光誘致に力を入れているんだとか。 「沖縄がいい例ですが、鉄道がなくても観光客が来る地域はありますよね。無理に多額の維持費を払い続けるよりも、注目されているうちに積極的にアピールしてリピーターを増やすほうが、観光という意味でのメリットは大きいかもしれません。結果的にうまくいくかはわかりませんし、地域にもよりますが、チャンスは間違いなくあると思います」  ネガティブな部分ばかりが取り上げられる廃線問題だが、場合によっては観光の起爆剤となる可能性もあるのだ。ただし、それはあくまで“禍転じて福と成す”ケース。そもそも廃線になる危機を食い止めるにはどうすればいいのだろう?

宗谷本線の特急サロベツ。春のダイヤ改正で写真の車両での運行はなくなる

「鉄道会社と自治体に任せっきりになっていますが、国全体の交通ネットワークの維持・整備を考えるならば、国が主導してお金もかけるべきですよ。同じインフラでも道路はふんだんに税金がつぎ込まれているのに、鉄道は企業努力ばかりが叫ばれる。利用者の少ない生活路線ではやむを得ない部分もありますが、主要都市間を結ぶ路線に関しては国も考える必要があると思います」  現在は過疎化が進んでいる地域だけが問題となっているが、このペースで少子高齢化が進めば、大都市に住んでいる人間も他人事ではなくなる。今まさに現実的に廃線について考えなければならないターニングポイントが訪れているのだ。 取材・文/林バウツキ泰人
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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