今さら? いや、今だからこそ「レコード」の魅力をあえて語ってみる!【マルチライター・山田ゴメス】
3.アルバム内にある“物語”を発見することができる
アーティスト側は曲順も熟考したうえで、一枚のアルバムをリリースしている。すぐにシャッフルできてしまうネット配信やCDでは、アーティスト側がアルバムに込めた“物語”が、ずたずたに分解されてしまうのである。
4.つい飛ばしてしまいがちな“あまり好きじゃなかった曲”をじっくり聴き直すことができる
やはり、すぐに“好きな曲”だけをピックアップできてしまうネット配信やCDでは“あまり好きじゃない曲”をどうしても“飛ばし聴き”しがち……。しかし、そういう“ノーマークの曲”も、レコードであらためて聴いてみたら……案外良かったりすることだって少なくはないのだ。
5.とくにベース音が柔らかく、それによるサウンドの一体感がある
ネット配信やCDで聴く音楽はどうしてもデジタルっぽく聞こえてしまう。もう少し具体的な表現をするなら、楽器一つひとつの音が別々に聞こえるのである。でも、レコードはそれらすべてがすんなりと溶け込んでいる――とくに中低音を担当するベース音の柔らかさが他の楽器の“つなぎ役”を果たしている……のかもしれない。
6.レコードの傷を拾う音も、また独特の味わい深さを…
あのプツップツッ……と定期的に聞こえる“針が飛ぶ音”も一種のスパイスとなり、音源に切ないノスタルジーを加えてくれる。とくにバラード曲のそれは、選曲次第で、うっすらと涙さえ浮かべてしまう……。
7.女子ウケが意外に悪くない?
20代半ばの女子が家に来たとき、やたらこのレコードプレーヤーに反応していた。聞けば、レコードに針を落とすのが初めてであるらしく(凄まじいジェネレーションギャップ!)、何度も何度も同じ行為を繰り返していた。
「アナログ回帰」の一言で片付けてしまえばそれまでだが、懐古による不便さと付き合ってみることによって生まれる、音楽以外の何物にも邪魔をされない“ミニマルなプライベート”も、あながち悪くない……。
ぜひ、日刊SPA!読者の皆さんも一度「俺が今、世界中で一番豊かだ…」と心底感じることができる“たった1万円のラグジュアリーな夜”を満喫してみてはいかがだろう? <取材・文/山田ゴメス>
【山田ゴメス】
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。日刊SPA!ではブログ「50にして未だ不惑に到らず!」https://nikkan-spa.jp/gomesu(PC版)も配信中。著書『クレヨンしんちゃん たのしいお仕事図鑑』(双葉社)大阪府生まれ。年齢非公開。関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション・学年誌・音楽&美術評論・人工衛星・AI、さらには漫画原作…まで、記名・無記名、紙・ネットを問わず、偏った幅広さを持ち味としながら、草野球をこよなく愛し、年間80試合以上に出場するライター兼コラムニスト&イラストレーターであり、「ネットニュースパトローラー(NNP)」の肩書きも併せ持つ。『「モテ」と「非モテ」の脳科学~おじさんの恋はなぜ報われないのか~』(ワニブックスPLUS新書)ほか、著書は覆面のものを含めると50冊を超える。保有資格は「HSP(ハイリー・センシテブ・パーソンズ)カウンセラー」「温泉マイスター」「合コンマスター」など
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