死亡事故率は4車線の約2倍!交通量増加の圏央道も暫定2車線区間の対策を【道路交通ジャーナリスト清水草一】
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
2月26日、圏央道の境古河-つくば中央間28.5kmが開通し、東関東道から東名高速まで、首都圏の6つの放射高速が圏央道によって結ばれた。
これによる経済効果はさまざまあるが、個人的に最大の驚きは、新規開通した境古河-つくば中央間で、開通当日、約2万4000台/日の利用があったというNEXCO東日本の発表だった(速報値)。
開通日はいわゆる「開通マニア」が押しかけるため、大幅に交通量が増え渋滞も発生するものだが、それにしても多い。なにしろ開通は午後3時だったのだから。
圏央道のうち、今回開通した区間も含め、東北道より東側の区間(主に茨城県および千葉県)は、ほとんどが暫定2車線。つまり片側1車線の対面交通だ。暫定2車線は通常、交通量があまり見込めない地方路線で採用される方式である。
暫定2車線はあくまで「暫定」。交通量が増えれば随時4車線化されることになっているが、その基準は「1万台/日」。2万4000台/9時間という利用台数は、区間断面交通量ではなく総計なので直接比較はできないが、暫定2車線としてはとんでもない多さである。
翌日以降の交通量は落ち着いたはずだが、それでも今後2万台/日程度の交通量は見込めよう。つまり、4車線化への基準は大幅にオーバーする。
しかし2月28日に行われたNEXCO東日本の定例記者会見において廣瀬社長は、「(2万4000台という利用台数は)いろいろな意味合いがあると思っている。走ってみたいという方も沢山いたと思う。茨城県知事からは4車線化の話もいただいているが、今後の推移は慎重にみて、国交省とよく相談していきながら、あらためて分析、検討、協議をしていきたい。今後どういう推移をたどるかという予測は難しいが、思ったよりも多く利用いただいているかなという感じはある」と述べるにとどまった。
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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