逆にいえば、相手に言えないことをしてきたという意識がある時点でそれは浮気だとも言える。 　彼氏がいてAVに出ていることを隠していたら浮気だし、彼女がいるのに風俗に行ったことを隠していたら浮気だ。意図的に隠すという行為には「罪の意識」が隠されている。相手を傷付けないためにあえて言わない？　いやいや、傷付く可能性を認識している時点で充分「罪の意識」があるじゃないか。 　しかし、好きの形もそれぞれだ。「彼女がいても風俗に行っていいじゃん」と最初から思っている男性は、そんな話し合いをする前から彼女へ「風俗行ってきたよ！」と言うかもしれない。ボクの基準でいくと、それは浮気ではなくなってしまう。罪の意識がないから。 　だが、それを聞いた彼女がこう言う。「傷つくから、もう風俗にはいかないで」と。すると、彼には「ああ、風俗に行ったらこのコは傷付くんだ」という意識が芽生える。これでまた彼女に悪いと思いながらも隠れて風俗にいけば、やはりそれは浮気なのだ（もちろん、この彼氏にそんな意識が芽生えない可能性もあるが……）。 　だから、今回の葉加瀬太郎さんの路チュー報道をなぜ、他者が不倫だの浮気だのと騒ぐのかわからない。もしかすると、奥さんの高田万由子さんと「女のコとデートに行って路上でキスをするのくらいはOK」と、2人での取り決めがあるかもしれないではないか。それを他人が勝手に決めた「浮気の基準」に当てはめてはならない。それはあくまで当事者間での問題だ、とボクは思うのだ。 　最近加熱する不倫報道合戦。いつも騒いでいるのは『外野』ばかりだと感じてしまうのはボクだけなのだろうか。 【大島薫】 作家。文筆家。ゲイビデオモデルを経て、一般アダルトビデオ作品にも出演。2016年に引退した後には執筆活動のほか、映画、テレビ、ネットメディアに多数出演する。著書に『大島薫先生が教えるセックスよりも気持ちイイこと』（マイウェイ出版）。大島薫オフィシャルブログ（http://www.diamondblog.jp/official/kaoru_oshima/）。ツイッターアカウントは@Oshima_Kaoru1989年6月7日生まれ。男性でありながらAV女優として、大手AVメーカーKMPにて初の専属女優契約を結ぶ2015年にAV女優を引退し、現在は作家活動を行っている。ツイッター@OshimaKaoru