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森発言にみる女性の社会進出の難しさ「女だと見るや否やナメてくる」

 見た目は美女で心は男。カリスマ男の娘・大島薫。男女の色恋、社会の矛盾、LGBTの無理解――男心と女心の双方を併せ持つ“彼”の目から見た、世の中のフシギとは?
大島薫

大島薫

森発言で思い出す女性上司の口癖

 女性蔑視発言で総スカンを食らった東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が辞意を固めた。森会長は今月3日に「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」などと発言をし、翌4日に記者会見にて「不適切な発言だった」と謝罪と発言の撤回をした。が、国内外から非難が集中、運営ボランティアの大量辞退やスポンサー離れが懸念されるなど、大会の開催も危ぶまれるなかでの決断だった。  そもそも発端となった発言は女性理事を増やすJOCの方針に、私見を述べたときのものだったいう。  元々失言の多い人物ではあるが、これがオリンピックという世界的なスポーツの祭典に関する会議であったため、国内のみならず、世界中から非難が殺到している。  日本の男女格差について、毎年世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数が度々話題になるが、例年日本の順位は153ヶ国の中で下から数えたほうが早い。去年も121位だった。この審査基準の要因として、女性議員や女性の管理職が他国と比べて日本は少数だということが指摘されている。  さて、この件について筆者として何か提示できることがあるだろうか。  これを書いている自分は23歳のときに男性の見た目から、女性の見た目で暮らすことを決め、7年経ったいまもその生活を続けている。男性の格好のときに正社員として企業勤めしていた経験があるのだが、いまの姿になって、たまにそのときの女性上司の口癖を思い出すことがある。 「女だからってナメられたくない」  それは普段の職場での会話や、朝礼での挨拶などでもよく彼女の口から飛び出していた。正直男性としてこの言葉を聞いていた僕は、あまりにも頻繁に出てくるその言葉に「別にナメてないけど…被害妄想すごいな」と辟易している節があった。  しかし、いまはわかる。奴らは女だと見るや否やナメてくる。

問題にピンとこないのは男社会の男だけ

 自分は言わなければ女性と思われることが多いのだが、例えばバーで酒を飲んでると男性に声をかけられることがある。別に「話しかけるな!」というタイプでもないので、受け答えをしていると、政治や経済の話なんかになると如実に「女の子は知らないだろうけど(笑)」というニュアンスを出してくる人がいる。  それに自分がその男性より多くの知見を披露したら、「いいや、君は間違ってる!」と怒り出したり、もしくは「女の子なのによく知ってるね~(笑)」という態度をとられる。  ツイッターなんかでこういった経験を呟いていると、女性から「私も仕事で窓口対応していたら『女じゃ話にならん! 男を呼べ!』といわれました」なんて体験談を送ってもらったりする。僕は女性として企業勤めなどはしたことがないが、これらの経験から彼女のいうこともやはりあるのだろうなとすんなり受け取れる。  しかし、男社会で男として働く人には、この理不尽さがなかなか伝わらない。まさにあの日の自分と同じだ。 「女だからって仕事でナメられる? そういうの規制する法律もあるんだし、被害妄想でしょ」  そんな反応だ。だが、振り返ってみれば筆者は男性の姿で働いているときから、この不平等を目にしたことがある。それこそ正社員時代、入社したばかりのころだ。新人へのコンプライアンス研修のとき、こんな説明があった。 「面接時に女性に恋人の有無を訊ねるのはセクハラになりません。なぜなら、女性は結婚したら会社を辞めるからです」  男女雇用機会均等法が改正され「妊娠、出産したから解雇は違法」が明文化されたばかりの、2009年かそこらの話だ。  そんな不平等を目の当たりにしておいて、女性上司のいう「女だからナメられたくない」は被害妄想だと思ってたのだから、我ながら視野の狭さに笑ってしまう。現状の問題にピンと来ないのは、いつも不満がない側だけだ。
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「結婚して辞める女は多い」に反論
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