ライフ

男の僕が実感した“女性の見た目”を維持することの大変さ

 見た目は美女で心は男。カリスマ男の娘・大島薫。男女の色恋、社会の矛盾、LGBTの無理解――男心と女心の双方を併せ持つ“彼”の目から見た、世の中のフシギとは?
大島薫

大島薫

メイク用品の減りは明らかに減った

 日本で初のコロナ感染者が出てから、約1年1ヶ月が経過した。一時のマスク不足も収束し、街中ですれ違うだけの人々の素顔を見る機会はほとんどなくなった。  そんなコロナ渦で大打撃を被っている企業の一つが化粧品大手メーカー「資生堂」だ。  資生堂は今月9日、去年1年間のグループ全体の売り上げが、前の年より18.6%減少して9208億円となっており、最終損益として116億円の赤字だと発表した。赤字は2013年期以来だそうだ。  しかし、これは普段メイクをすることの多い女性からすると、特に驚くべき出来事でもないと思う。というのも、明らかにメイク用品の減りが遅くなっているのを実感しているだろうからだ。まず家から出ない、やったところでマスクで隠れるので意味がない。1日中すっぴんでいる日も増えただろう。筆者は男性でありながら、女性の格好をして暮らしているため、そういう実感がある。だが、まだ男性の見た目で生活をしていたとすれば、おそらくそういう想像もあまりできなかっただろう。つい先日、女友だちがこんなことをいったのだ。 「最近彼氏にいわれて、メイクを薄くしようとしてるんだけど、まだ『濃い』っていわれる」  見ると、たしかに。普段彼女はゴシックっぽい、ダークなアイシャドウで目を囲うようなメイクをしているのだが、今日はかなり薄付きだ。そこで僕はこういった。 「まあ、男性はメイクの色味くらいしか見てないからね。濃く塗ってもベージュとかなら薄いメイクだと勘違いするし、青とか黒ならサッと塗っても濃いメイクに感じるんだよ」  と、いいながら、こんなこと、たぶん自分がメイクしなければ言えなかっただろうなと思った。結局彼女はカラーまでは変えたくなかったようで、元のメイクに戻すことにしたみたいだ。とはいえ、そんな僕はもちろん初めからメイクのやり方を知っていたわけじゃないし、思い立った瞬間女性の見た目になれたわけでもない。今日はそんな、見た目の性別を変えていくうちにやってきたことをいくつか書いていこうと思う。

髪の毛がサラサラなのは「女性だから」?

・髪の毛  メイクよりまず始めに書きたいのは、やはり髪の毛のことだ。なんたって年季が違う。メイクは技術と知識量なので、その気になれば自分の努力次第でいくらでも上達速度は上がる。だが、髪の毛はそうはいかない。  物理的に時間がかかるのだ。髪は1日で0.3~0.4mm伸びるといわれているが、筆者は大体胸の位置まである。セミロングというには長いくらいだが、この長さになるまで男性の髪型から2年の時間がかかっている。また、手入れしながら伸ばさなければ、綺麗な髪にはならないので、毎日のケアーも大変だった。たまに男性の中には「女性のサラサラの髪は女性特有! 女の子が良い匂いがするのは、女の子だから!」なんて思っている人がいるが、女性だって手入れを怠れば髪はギシギシになるし、良い匂いもしない。  美しい髪にはそれなりの時間と労力がかかっているのだ。そのくせ、綺麗にするには長い年月が必要なのに、放置すると荒れるのは一瞬だから割に合わない。 ・メイク  メイクに関しても、それなりになるには結構時間がかかった。最初の頃は見様見真似でやってるから、アイラインを2cmくらい太く引いたり、チークをこれでもかと塗り込んでおてもやんみたいになったりしたものだ。これは、女性も始めのほうは同じような経緯を辿るらしい。中学くらいで化粧に興味を持ち始めた子なんかは、同じような経験があると思う。  ただ僕は当時23歳だ。女性が中学くらいから徐々に学んだりしてきたことを、何足飛びかで学ばないといけなかった。雑誌やネットを駆使して、なんとか覚えたものだ。こういうときいつも思うのが、女性というのは生まれながらにして世間がイメージする『女性』ではないのだなと感じる。幼少期から髪を伸ばしたり、メイクを覚えたりして、ゆっくりといわゆる『女性』になっていくのだ。ただ、この世間がイメージする『女性』を維持することは、とんでもない労力がかかるので、やりたくないのにやらされてる感を覚えている人もたくさんいるだろうなと思う。
次のページ
女性がバッグを持ち歩くワケ
1
2
3
Cxenseレコメンドウィジェット
ハッシュタグ
おすすめ記事