マクドナルド誕生の裏側を描いた映画『ファウンダー』から学ぶ後出しジャンケン必勝法【コラムニスト木村和久】
―[木村和久の「オヤ充のススメ」]―
― 木村和久の「オヤ充のススメ」その170 ―
7月29日公開の映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を紹介させて頂きます。タイトルのファウンダーとは、創業者のことを指します。なんの創業者かというと、世界一のハンバーガーチェーンを築いたマクドナルド帝国の創業者の話となります。
マクドナルドといえば、最初にお店を作った人としてマクドナルド兄弟の名が有名です。しかし、創業者として永遠に名前を残すのはレイ・クロックという人物です。
この映画は、マクドナルド兄弟が発明したスピーディーに品物を提供するハンバーガー店をレイ・クロックがいかに合法的に買収し、自分のものにしたかのお話です。だから、後だしジャンケン必勝法と書いたのです。
話をかいつまみますと、当時マクドナルド兄弟の作ったハンバーガー店はオーダーしたら、ものの30秒でハンバーガーが出て来て、大人気でした。しかもお客さんは健全なファミリー層やカップルがメインで和やかな雰囲気で食事をします。実は、当時1950年代のロードサイドのカフェレストランは、不良のたまり場でした。だから、限られた層しかカフェに行きませんでした。マクドナルド兄弟の店は全てのアメリカ市民がターゲット、ゆえにハンバーガーが国民的な食べ物に成り得たのです。
映画の始まりはマクドナルド兄弟とレイ・クロックの出会いからです。マクドナルド兄弟がチェーンを数件に広げたあたりで、レイ・クロックが登場します。レイは当時、アイスシェイク・ミキサーのセールスマンをしており、52歳で泣かず飛ばずの人生を送っていました。そんな矢先、一気に6台もの注文が入り、小躍りするレイ。そんな景気のいい店ってなんだろうと覗きに行ったら、それがマクドナルドだったのです。
そこからレイはマクドナルドのフランチャイズ権を獲得し、破竹の勢いで店を増やしていきます。
買収の顛末は映画で楽しんでいただくとして、何か事を起こそうとしている人にとっては、たまらなく魅力的に見える映画です。だって自分がオリジナルのイノベーションをせず、他人のアイデアを拝借して、巨万の富を築くなんて、なんと素敵なことでしょう。しかも、当時のレイはしがないセールスマンですから、お金もありません。これで、よくまあ他人のふんどしで相撲を取って、勝てたものです。
映画の最後で、レイはマクドナルド買収の必要性を語ります。
「マクドナルドのキッチンのシステムは熟知していた。だから名前を変えて、新しいハンバーガーチェーンを作るのは容易だった。けど私はマクドナルドという名前が欲しかったのだ。レイ・クロックのハンバーガーチェーンじゃ、誰も客は来ないよ」
とまあ、こんな感じのコメントを残しています。マクドナルドというドイツ語に近い語感の響きが、なぜか人々をわくわくさせると直感でわかっていたのです。
1
2
この連載の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ