更新日:2022年09月25日 11:12
ライフ

旅打ちギャンブラーが出会った「ギャンブル場の旨いメシ」

機械の故障が生んだ副産物、千葉競輪場の山盛りコーラ

 最後に番外編。グルメというよりも事件に近いのだが……昨年千葉競輪に行ったときのこと。喉が渇いたので近くにある紙コップ式自動販売機で普通にコインをいれコーラを選択。紙コップが出てきてコーラが注がれていくのだが、抽出完了直前になって「ビシャッッ!」という音とともに、プラスティックの前扉に突如コーラが飛び散った。紙コップになみなみ注がれたコーラに、氷が投入されたことでコーラが飛び散ったのだ。まあメンテナンスミスなのだろうが、出てきたコーラはフチまでなみなみと、そして氷がカップの上に飛び出ている、まさに「山盛りコーラ」!  開催日数が少ない競輪場ならではのメンテが行き届いていない自販機だからこそお得なコーラが飲めるのだ。

ボート好きじゃなくてもわざわざ通う、ボートレース多摩川の牛炊

一昔前は昼時前に売り切れることもあった多摩川の牛炊。バラ肉を煮込み、韓国のクッパ風の味付けのぶっかけメシだ。ニンニクとキムチは必須!

 ボートレース多摩川の名物・牛炊は、ボートレースをしない一般の人でもわざわざ足を運んでまで食べに来るという、ギャンブルメシ界の最高峰的な存在だ。牛すじ肉で取っただし汁をごはんにぶっかけただけの一品なのだが、これがまた本当に旨い。ニンニクを少し入れて一味を振りかけ、キムチを混ぜてカスタマイズさせれば、旨さも倍増。一口食べれば、ほほー!と思わず声が漏れてしまう旨さなのだ。  今でこそギャンブル場はあまり人がいなくなってしまったのだが、90年代~00年初頭くらいまでは、昼に行くとすでに売り切れ……なんてこともザラ。食堂に来るおっさん連中が牛炊のコーナーに長蛇の列を作る日も珍しくはなく、おっさんたちのスタミナ食だったのである。  そんな牛炊を久しぶりに味わうために先日、ボートレース多摩川に行ったのだが、昼過ぎでもしっかり食べることができた牛炊になんとはない哀しみに似た思いがこみ上げてしまった。  他にもボートレース若松のホルモン串、武雄競輪で食べた餃子のおでん、高知競馬で食べたオバチャンが売ってたアイスクリーム、売店の充実度は日本一じゃないかと思う川口オートの売店など、ギャンブル場のメシには思い出が一杯詰まっている。ギャンブル場には旨いメシ、不思議なメシがいっぱいあるのだ。レースや勝負の合間に、そんな食べ物たちを探してみてほしい。 取材・文/佐藤永記 構成/長谷川大祐(本誌)
公営競技ライター・Youtuber。近鉄ファンとして全国の遠征観戦費用を稼ぐため、全ての公営競技から勝負レースを絞り込むギャンブラーになる。近鉄球団消滅後、シグナルRightの名前で2010年、全公営競技を解説する生主として話題となり、現在もツイキャスやYoutubeなどで配信活動を継続中。競輪情報サイト「競輪展開予想シート」運営。また、ギャンブラーの視点でプロ野球を数で分析するのが趣味。
Twitter:@signalright
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