豊田真由子議員はなぜキレたのか? 「自分は絶対ああならない」が生む悲劇【魂が燃えるビジネス】
私たちは自分が受けた苦痛を気づかないうちに抑圧します。ただ「そういうことがあった」という事実に置き換えようとします。しかし、その試みは決して成功しません。
過去の苦しみや悲しみは客観的な出来事ではありません。それは現在も未消化の感情問題です。だからこそ客観的に「こういうことがあった」と思い出すのではなく、感情を交えて思い出す必要があります。
「あの時、自分は本当に嫌だったんだ、苦しかったんだ、悲しかったんだ」
感情的に過去を受け止められたとき、私たちはそこから自由になれます。苦痛と恐怖から目を離せるようになり、「ああはならない」と言う否定ではなく、自分が望むものを視野に収められるようになります。
このプロセスは知性とは関係ありません。豊田真由子議員は東京大学法学部を卒業して、ハーバード大学大学院で修士を取得しています。彼女が才女なのは間違いないでしょう。しかし、「ハゲー!」と激高する感情問題はクリアできていませんでした。
知性は色々な場面で役に立ちます。しかし、それがすべての問題を解決してくれるわけではありません。私たちは問題を抱えると、「どうやって? どうしたら?」というロジックに傾きすぎてしまいます。答えがそこにないにもかかわらず、です。
私は豊田真由子議員と話したことがありません。しかし、一つわかることがあります。それは彼女が心から「秘書に罵声を浴びせたい」とは思っていない、ということです。そんなことを望む人間はいません。
彼女は人生の中で、ああいった振る舞いをせずには入られない経験をしたのです。そんなことを少しも望んでいないのに、そうなってしまう。虐待など望んでいないのに虐待してしまう悲劇と同じプロセスです。
暴行や暴言である以上、何らかの形で責任は取らなければならないでしょう。しかし、それとはまったくの別次元で、彼女が理解者によって救われることを望まずにはいられません。
同時に、他ならぬ私たち自身が彼女のようになる可能性をいつでも孕んでいます。「私はそんな風にならない」と言い切るのは、これまでに説明したように、自分自身に対する無理解以外のなにものでもありません。
あなたがいま抱えている問題はなんでしょう。それは知的に、ロジックによって解決する問題でしょうか。もしあれこれと試してもダメならば、答えは心の領域にあるのかもしれません。
「自分の親はどうだったか?」
そう思い返してみると、「どうやって? どうしたら?」という問いかけでは見えなかった関係と原因が見えてきます。子は親の背中を見て育ちます。いい面も悪い面も親に似て、当然だからです。
その上で私たちは親から受け継いだ欠点を克服していかねばなりません。そのきっかけになるのが想起と受容です。「親がそうだったんだから、自分がそうでも仕方ない」では同じことが繰り返されるだけです。それでは人類が発展していきません。
カエルの子はカエルなのか。それともトンビが生んだタカなのか。私たちは人生全体を通して、その選択を迫られています。
【佐々木】
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中
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