雑学

季節感を「白」でだす方法/エルメネジルドゼニアに学ぶ

【モードをリアルに着る!オム Vol.6/小林直子】

エルメネジルドゼニアに学ぶ

vogue.comより

 季節感が感じられるスタイルというものは、いつの時代でもおしゃれに見えるものです。例えばダークカラーのウールの重いコートから軽快なブルゾンへとかえるとき、またウールのセーターからコットンの半袖Tシャツへなど、アイテムや素材、シルエットを変化させることで、季節が冬から春へ、そして夏へと変化しているのだということを演出することができます。

 もちろんそんなことは気温の変化によって半ば自動的に行われており、暑くなってきたので半袖を着た、その程度の認識で毎日の衣服の選択はなされるでしょう。別にそれでもまったく問題ありません。おしゃれなどしょせん趣味の問題です。それ以上ではありません。

 さて、しかしその趣味であるところのおしゃれを季節感で出そうというときに、暑いから半袖Tシャツを着てしまったというのでは、やはり芸がありません。ここは何かしら、生理的欲求によって着る服を選ぶ輩とは違う方法をとってみる、というのが洒落者というものでしょう。

 季節感を演出するのに使える、そして案外多くの男性が採用していない方法は、色による方法です。日本の男性の服装を眺めると、通勤のときはグレーや濃紺のスーツ、そして休日はブルーやブラックのジーンズに白か黒のTシャツ、またはブルー系のチェックシャツというスタイルの方が多い印象です。ついで多いのはベージュ、カーキ、サンドなどと呼ばれるチノパンツに代表されるような、茶色からオフホワイトにかけての色でしょう。

 エルメネジルド ゼニアの2018年春夏のスタイルは、そんな茶からエクリュと呼ばれる生なりまでのナチュラルカラーのグラデーションスタイルでした。もちろんこれらスタイルに使われている素材は、天下のゼニアですから、シルクやカシミアなど、贅を尽くした最高級の素材です。これをそのまま実現しようとしたら、100万円ぐらいかかるでしょうか。

 というわけで、この素材と最高級の仕立てのものを真似するのは無理なので、そこは真似せずに、このスタイルの色合いだけを取り入れてみる方法を考えてみましょう。

 春から初夏にかけての柔らかい日差しの中で、少し季節の先取りを色で表現したいのなら、まず真っ先に思い浮かぶのは白ですが、男性の場合、全身をすべて白でそろえてしまうというのはなかなか勇気が要るものですし、大仰な感じもします。そんなときに、全身白ではなく、かつ初夏の雰囲気を出せるエクリュ(生なり)というのは、なかなか使える色だと思います。

 エクリュとは漂白されていない麻や木綿の繊維の色のことで、薄いベージュと言ったらわかりやすいかもしれません。要するに、ベージュをものすごく薄くした白です。エクリュは、茶色から白へと明度のグラデーションを作ったときの、限りなく白に近いベージュです。

 エルメネジルド ゼニアのこのルックは、そんなエクリュをメインとしたグラデーションで構成されています。靴とリュックに明るめの茶色を採用することで、全体を引き締めてメリハリを作り、大人のリラックスした、かつ端正なルックを作っています。

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手持ちの服で再現できる組み合わせ

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