色の問題の次に、ではアロハシャツは何に合わせるか、ということです。実は同じポール・スミスの2018年春夏コレクションの中で、アロハシャツをスーツに合わせているルックもありました。確かにそれも悪くありません。悪くはないのですけれども、サングラス、スーツ、柄物の開襟シャツという組み合わせが、日本だとどうも、おしゃれな人ではなくて、素行の悪い一派のように見えてしまって、あえてそれはしないほうがいいだろうと思い、取り上げませんでした。 　日本ではスーツはやめたほうがいい、だとしたら何がいいだろうかと考えたとき、このルックのようなブルゾンや、もしくはワークジャケットがよいのではないだろうかと思います。一般にアロハシャツで通勤はしないでしょうから、遊び着として、ブルゾンやワークジャケットに合わせるのは最適でしょう。 　しかし、中にはアロハシャツが仕事着という人がいます。そして、アロハシャツを着ておしゃれに見せたいのなら、そのスタイルが「仕事の制服として着ている」ように見えないようにすることが肝心です。 　日本でも神奈川県の茅ヶ崎市役所が「アロハビズ」と称して、夏の期間、アロハシャツを着用していますが、アロハシャツを着ていたら、「職員の人かしら？」と思われないような工夫が必要でしょう。 　そのためにはどうしたらいいでしょうか。1つは、カジュアルになり過ぎないこと。例えば短パンやスニーカーを合わせないなど、楽だよね、暑いよね、というためにアロハシャツを着ているわけじゃない、ということがわかるように、靴はしっかり革靴を、パンツもセンタープレスが入っていたり、裾がダブルのものを選ぶとよいでしょう。 　もう一つは、合わせる小物に気をつけること。仕事がしやすいためのバッグ、帽子、ベルトの働く従業員スタイルではなく、自主的に選択し行動する、おしゃれな大人のバッグ、帽子、ベルトを選ぶ。つまり、このスタイルのまま会社や役所には行きません、と思われるような、そんな個性的で、こだわりのあるものを身につけるとよいでしょう。そうすれば、アロハシャツを着た役所のおじさんやホテルの従業員ではなく、知的でおしゃれな男性に見えることと思います。 　今まで柄物のシャツなど着たことがなかったとしたら、初めての柄物として、今年の夏はぜひアロハシャツを着てみましょう。 ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。新刊『わたし史上最高のおしゃれになる！』は発売即重版に。新刊『お金をかけずにシックなおしゃれ 21世紀のチープシック』が発売中