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アルコール依存症で死にかけた僕。なぜまた飲んでしまうのか

 酒を飲みたくなったとき、抑止力になるのは薬ではなく、依存症仲間たちが頑張って酒をやめている姿。「あの人がやめているんだから、とりあえず今日だけはやめておこう」という日を1日1日重ねていく。  アルコール依存症はいまの医学では治療することのできない病気。回復したいという本人の意思にすべてはかかっていて、「酒を捨ててもう一度人間を信じてみよう」という気持ちそのものを取り戻すための、とても人間的な病だと僕は思う。  そのA・Aに、僕は2年間ほど通っていたが、やがてまた酒に手を伸ばすようになる。  一滴でも飲めばたちまち昼夜問わず飲み続ける連続飲酒の生活に逆戻りしてしまうのがアルコール依存症の症例とされている。不治の病なのだと。だが不治の病なんてあるんだろうか。  謎の探求心にかられて、私はある日、缶チューハイを恐る恐る飲んでみた。……なんともなかった。  罪悪感に押しつぶされそうになりながら、A・Aに通いつつ酒を飲む生活を数カ月続けたあげく、A・Aとの繋がりを断ってしまう。  上手に酒とつきあえる、ということはアルコール依存症じゃないんだと。でもそれは甘すぎる考えだった。  節酒はできるようになったものの、私はまた別のものに依存するようになる。性に。  私は根っからの依存体質だったのだ。 <TEXT/仙田学> 【仙田学】 京都府生まれ。都内在住。2002年、「早稲田文学新人賞」を受賞して作家デビュー。著書に『盗まれた遺書』(河出書房新社)、『ツルツルちゃん』(NMG文庫、オークラ出版)、出演映画に『鬼畜大宴会』(1997年)がある
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