アルコール依存症で死にかけた僕。なぜまた飲んでしまうのか
「日刊SPA!」に女装小説家としてコラムを連載中の仙田学さん。実は過去にアルコール依存症として自助グループに参加していました。今回は、依存症の当事者としての闘病の日々を綴ります。
■ ■ ■ ■
子どもの頃から、胸の中にぽっかりと穴が開いている。いつも叫びだしたいくらい寂しかった。
友達と遊んでも恋人と一緒にいても、周りの人々が羨ましく、自分には人間的な欠陥があるのではと怯えた。
寂しさを紛らわせるために、私が長いあいだ溺れたのはアルコールと性だ。だがどれほど忘れようとしても、寂しさはなくならない。
それでも私は現実から目を背けて、アルコールや性によっていつか完全に寂しさがなくなる日を夢見た。
いまも、その夢を見続けている。不可能だということに薄々気がついてはいる。
だが、私は胸の中の穴を埋めて、自分には欠陥がないということを証明したくてたまらないのだ。
アルコールについて、セックスについて、私がどんなふうに溺れていき、たくさんの失敗を繰り返してきたのかということを、2回に分けて語ってみたい。
20歳の頃に、僕はアルコール依存症になった。
中学3年生で不登校になって以来、もやもやしたものを抱えて、それをなんとか形にしたいともがいてマンガを描いたり、映画のシナリオを書いたり、芝居の脚本を書いてみたり……でも、どれもしっくりこない。
自分には才能がないのだと諦めようとしたが諦めきれず、その思いを酒で紛らわし始めたのだ。
自分らしく生きたい。でもどうすればいいのかわからない。そんなやり場のない思いを、アルコールは優しく包んで、忘れさせてくれた。
飲んでいるときだけは、自分のことを忘れられる。そうすることでやっと、自分らしくいられる気がした。
あるときアパートで酒を飲んでいると、鼻血が出て止まらなくなった。タオルを何枚も当てたがみるみるうちに真っ赤に染まっていく。
一緒にいた友人が救急車を呼んでくれたのだが、救急隊員に運ばれる途中にかなり暴れたらしい。僕は精神科の閉鎖病棟に搬送された。
精神科や内科の病院に4、5回入退院を繰り返したが、退院するたびにすぐにアルコールに手を伸ばした。

アルコール依存症で精神病院に

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