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発達障害者のためのライフハック本が話題「“普通の人”との隙間を埋めていきたい」

発達障害ではない人だって、普通の社会に疲れている

――社会の逆風はSNSからも感じているとか。 借金玉:SNSからは、誹謗中傷が山のように来ます。単純な差別主義者はもちろん、イデオロギーに絡めて発達障害を担ごうとする人もいる。その中で感じるのは、なぜそんな性急に善悪を区分したがるのだろう?ということです。右派や左派、日本人と外国人など他のフィールドでもすぐお互いの生存をかけた言い争いになってしまう風潮があります。  つい最近も、ブログで効率が悪くロスタイムの多い発達障害者にとって、残業はむしろ必要だという話を書いたら、僕を隔てて両サイドに分かれた論争が起きてしまいました。(「残業禁止は強者のルールなのでは、という話。」)  もちろん、僕の表現が甘かったということもあります。しかし、発達障害者として語るということには、やはりリスクはあります。それは、ある種の人の神経を逆なでするものになり得てしまう。これは、定型発達者にとっても社会は決して楽なものではない、ということでもあると思います。みんな辛いんですね。 ――最終的には、そうした壁をなくしていきたいということですか? 借金玉:定型と発達障害者間で争うのはやめて、お互いに尊重しあうようになればいいなと。  僕も起業したとき、僕以上の発達障害を持つ部下に非常に苦労させられて以来、社会に対して「発達障害にもっと配慮しろ」と文句を言うことができなくなったんですね。発達障害者がいくら自分たちに配慮しろと主張しても、生死をかけてビジネスをしている経営者側としては、すんなり受け入れることは難しいと思います。  また、現実的にどんな配慮をすればいいかもわからないでしょう。この本は、その対立の隙間を少しだけ埋めるものであってほしいと思っています。  発達障害の側のありようをうまく伝播させていきたいと思う反面、僕も定型の人を理解しようとしているし、リスペクトする面もあります。空気が読めて、苦もなくサラリーマンとして働ける。僕にはできないことですし、すごいですよね。  そして、定型の人も定型の社会に疲れていると思います。そもそも、定型や発達といっても、スペクトラムな概念で境界線が曖昧なものですし。  発達障害者にとってのライフハックが定型の人にとっても役にたつところもあるのではないか、あったら良いな、と思っています。  定型でも発達障害でも自己を無条件に肯定し、フィクションはくだらないと言いつつ、お互い休みつつも頑張ろうぜということを伝えていきたいと思います。<取材・文/安英玉(本誌編集部)>
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