雑学

発達障害者のためのライフハック本が話題「“普通の人”との隙間を埋めていきたい」

人生を悩ましいものにしていたのは、自閉症スペクトラム、ADHDであったことに気づく大人が増えているという。その当事者に話を聞いた(画像はイメージです)

 「発達障害」――「アスペルガー症候群」「ADHD」などの言葉が10年ほど前から、急激に注目を浴びるようになった。これらはもともと神経発達症群に属し、診断基準によって分類される。

 アスペルガー症候群(ASD)は現在「自閉症スペクトラム症」として包括的に診断され、社会性がない、共感能力がなく空気が読めない、コミュニケーションの異常、特定の習慣やモノに反復的な固執を示すなどの特徴を有する。

 一方、ADHDは注意欠如・多動性障害を略したもので、不注意、多動、衝動性が特徴であり、片付けられない、極端に集中力がない、物事を持続させられない、じっとしていられない、多弁が過ぎるなどで発現する。

 成人してから気づくケースもあり、社会生活で理解されることは少なく、生きづらさの原因となる例も多い。

 そんな中、発達障害のライフハック術をまとめた書「発達障害の僕が『食える人』に変わったすごい仕事術」が話題となっている。

 著者の借金玉氏を直撃した。

――借金玉さんが自身を発達障害であると認識されたのはいつ頃でしょうか?

借金玉:小学生の頃から学校にまったく馴染めず、登校拒否を繰り返していました。高校も落第寸前でギリギリ卒業。ずっと生きづらさを感じていましたが、自分が発達障害であるということを知ったのは大学生の時です。

 病院に行っても躁鬱や鬱と言われるばかりでしたが、インターネットで自己診断できるサイトを見て、確信。診断を受けたら案の定そうだったという経緯です。

 現在は、二次障害である躁鬱対策の薬と、ADHDへの処方薬としてコンサータを服用しながら生活しています。

  僕の診断名はADHDですが、ASD的な傾向も非常に強いタイプです。

――発達障害であることで、どのように苦労されたのでしょうか?

借金玉:大学卒業後、奇跡的に某大手金融機関に就職できたのですが、周りは学歴、事務処理能力など基本スペックが申し分ない定型発達者(発達障害ではない人、以下「定型」)のエリートばかり。能力にムラのある僕はその中であっという間に落ちこぼれていきました。

 遅れをとっても、いつもの「過集中」(過度に没頭するADHD、ASDの特徴)で取り戻せると思いきや、仕事はそんなに甘いものではなく……。

 そのうえ空気が読めず、すぐに人間関係を破綻させるためあっという間に嫌われていき、結局2年足らずで脱落。その後、数千万円の出資をかき集めて起業しましたが、それも一時は良い時もあったものの、事業撤退に追い込まれました。

 そうしてすべてを失った後、現在は営業職のサラリーマンと著述業の二束の草鞋で生活しています。

――著書が発売前から重版がかかるなど、非常に話題になっています。

借金玉:学術的な専門知識もない、ただのおっさんが書いた本が、類書に比べて話題になっていることは驚きです。

 ただ、僕は本を書き始める前からtwitterで多くの発達障害者の知己を得ていたので、当事者への取材自体はやりやすかったと思います。

 僕の当事者としての経験則と、数十人をヒアリングして得たケーススタディを合わせて、発達障害者のライフハックにおける最大公約数的なものとして書いたつもりです。一人一人違う症状や問題を抱える発達障害者の実用的な「ライフハック」本として、少しでも役に立てれば幸いだと思っています。

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この社会はフィクションと割り切り、そこでの作法を身につければいい

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