更新日:2022年12月30日 10:47
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告発されたセクハラ上司がまさかの仕返し 被害女性が会社を追われるハメに

ブラック企業

加害者は別の部署で昇進、被害者が理不尽な左遷…

「あなたが辞めることはない、と全員で引き留めましたが無理でした。本当にA子が気の毒で。私は会社のことが信じられなくなりましたが、生活を考えると辞めるに辞めれず……」  そう溜め息混じりに語るのは、東京都内の大手人材派遣関連会社に勤務する女性・山瀬さん(仮名・30代)。入社同期のA子さん(当時20代)は、所属部の上司から肉体関係をおよそ半年にわたって迫られていた。飲み会の席などでは隣にいるよう強要され、酔った上司からは体を触られたり、卑猥な質問に答えるよう強要されたりして、A子さんは体調を崩すほどであったという。 「気弱なA子だったから見るに堪えず、女性社員の有志数人で上司のセクハラを会社に訴えました。上司は最初『事実無根』と言い張っていましたが、やがて第二、第三の被害者も現れて、最後はみんなの前で土下座。被害者にはそれぞれ30万円の“解決金”を支払うことになったのですが……」  解決したかに見えたセクハラ事件は、上司の思わぬ反撃によって被害者をさらに苦しめることになる。 「上司は事件後も懲戒は受けず、すぐに財務部の管理職に昇進。上司は、セクハラを訴え出た女性が所属する部署の予算をカットしたり、被害女性が進めていたプロジェクトの中止を決めたんです。今度はパワハラか、と女性社員だけでなく男性社員も怒っていたのですが、男性社員は上司に“昇進”などと囁かれて何も言えず。歯向かった女性社員は望まぬ部署に異動させられたり。会社の労組でさえ、上司に言いくるめられていたようで取り合ってくれない。これがセクハラ事件への仕返しかと思うと、本当に悔しさしかありません」  当の上司も今では会社の役員クラス。いまだに辞めたA子さんのことを名指しで「銭ゲバオンナ」「勘違いの行き遅れ女」と罵倒しているらしい。真実を知る残された社員らの苦痛は想像を絶するものだろう。  果たして、自分の会社はどうか? たとえ正しい告発ができても、その後は結局、正義が踏みにじられ、悪がのさばってしまうような状況に陥ってはいないだろうか。セクハラはダメ、パワハラを禁止、と口で言うのは簡単だが、その後のフォローやケアまでしっかり行わないと、こうした悲惨な人々を生み出してしまうのだ。<取材・文/伊原忠夫> ― 本当に実在した! 隣のブラック上司たち ―
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