更新日:2022年12月30日 09:59
仕事

「連ドラ撮影は自殺者が出てもおかしくない」若手ADが見た異常な現場

 ブラック企業とひとことで言ってもその黒さは様々だ。ヤクザとツーカーで談合まみれのゼネコンや、上司オリジナルの精神論がまかり通る脳筋会社などなど。しかし、「寝られないことに勝る苦痛はない」と嘆くのは映像制作会社勤務3年目の男性・宇田川さん(仮名・20代後半)。  そもそもマスコミ関係の仕事はブラックが多いと言われ、典型例として“AD(アシスタントディレクター)=寝られない”というイメージが定着しているが……果たしてどれほどのレベルなのだろうか? そこで働く上司のトンデモな言動とは? テレビの裏話

寝られないのが当たり前のAD3年目

 宇田川さんの勤める会社は、主に地上波の番組で使用する再現VTRを制作している。小さい仕事と思われることが多いが、それだけにクライアントから降ってくる仕事の量は制作現場のキャパをゆうに越えており、寝られない日々が続くという。 「閑散期は週休2日、10時~20時出勤というスケジュールになりますが、繁忙期はそういった勤務形態はすべて取り払われます。1日2時間睡眠が続いたり、3日徹夜が続いたりと勤務形態という概念すらなくなるという感じです。もちろん残業代という概念もなく、固定給しかもらえません」  テレビ業界にいると慢性的に寝不足の状態になるという。それは部下だけでなく上司も一緒。そのため社内にいる人間のほとんどがかなり危うい精神状況にあるそうだ。脳が正常に動作していないので小さなミスだけでなく、大きなミスも連発。上司も気が立っているので罵声を浴びせてくるが、そんな言動はすでに日常会話の1つとして捉えているらしい。 「そりゃあれだけ寝ていなければミスも起こりますよ。ミスを怒られるというよりも人格否定が始まりますからね。“テレビ業界は土方”というのは初めに教えられる言葉です」  最近は同僚が取材アポの日程を間違え、取材先を訪れると「え、今日ですか?」と言われるミスが起きた。血走った目で怒鳴り散らす上司。この上司も3日寝ていないので、いつ脳の血管が『スパンッ』と破裂してもおかしくないなと宇田川さんは心の中で思った。 布団
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連ドラ撮影は自殺者が出てもおかしくない
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元週刊誌記者、現在フリーライター。日々街を徘徊しながら取材をしている。著書に『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)。Twitter:@onkunion

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