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トヨタや日産が撤退表明したディーゼルで突き進むマツダに活路はあるのか?

 実際のところ、排気量を大きくしたのに最大トルクは変わらず、馬力もちょっとしか上がっていない。走った感じも、若干静かになったかな~くらいで、以前とそれほど変わっていなかった。
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ガソリンエンジンは212万7600円~、クリーンディーゼルエンジンは243万6480円~。それぞれ2WDと4WD、6ATと6MTのモデルが選べます(写真はクリーンディーゼル)

 ただ、お値段も約3万円アップと、ほんのわずかだ。排気量が300ccデカくなったら、フツーは30万円くらい高くなるはずなので、実質据え置き。名を捨てて、実を取っているのである。  果たしてマツダの行く裏道に花の山はあるのか?  私は「ある」と思っている。  確かに今後も、ディーゼルの世界的な退潮は続くだろうが、低圧縮比のマツダのディーゼルには、排ガスの後処理が必要ないという、他社にはない大きな強みがあり、そのぶんコストを大きく抑えられる。  他社は今後、ディーゼル規制の強化に合わせて、尿素SCRなど高価な排ガス後処理装置を強化しなくてはならない。コストはどんどん上がって、あまり値段を上げられない小型車に関しては、どんどん割に合わなくなっていく。だから「小型車用のディーゼルをまず廃止して、新世代ガソリンエンジンやハイブリッド、EVに置き換えよう!」というのが、世の大勢だ。  そんななか、マツダだけがコスト据え置きでディーゼルのクリーン化を進められれば、他社が撤退した市場を独占することも夢ではない。ディーゼル全体のパイは縮小しても、自社の取り分が拡大できれば勝利。まさに「人の行く裏に道あり」だ。
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クリーンディーゼルエンジンは相変わらず静かでパワフル。すばらしかったのですが、首都高接合部などを越える際、4WDモデルで感じたCX-3の後部座席の乗り心地の悪さも相変わらずでした

 私は自家用車として、BMWのディーゼル車に乗っているが、やっぱディーゼルって、特にロングドライブでメッチャいいんですわ。たとえばプリウスなどのガソリンハイブリッドに比べると、加速力が断然強くてラク。日本は軽油が安いので、燃料代はプリウスとほぼ同じですむ。一度乗ったらやめられません。  そんなディーゼルに本気で取り組み続ける国産メーカーはマツダだけ。そこに活路がある!  逆にマツダは、EVの開発はトヨタとの合弁会社にまかせているが、今後EVのシェアがそんなに急激に伸びるかというと疑問で、需要としてはまだディーゼルのほうがかなりデカい。いや、ディーゼルの技術開発を続ければ、今後もEVに勝ち続けられるかもしれない!? 【結論】日本の自動車業界には、トヨタみたいな巨大メーカーだけでなく、マツダやスズキみたいな偉大な中小企業がある。実にありがたい話です。日本人に生まれてヨカッタ~
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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