R-30

人生を変える気づきのメモ。変化は自覚から始まる

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第57回

人生を変える気づきのメモ。変化は自覚から始まる 人間はよいことをしていれば天国に行き、悪いことをしていれば地獄に行くと言われています。割とポピュラーな子どもの諭し方なので、親に叱られた時などに、実際に言われたことがある人もいるかもしれません。「嘘をつくと、地獄の閻魔様に舌を抜かれる」なんて脅しもあります。

 天国や地獄は宗教的な概念ですが、実際にキリスト教や仏教の教えを紐解いてみると、「それは死後の世界の話ではなく、今を生きる人間の心の状態だ」と考える宗派もあります。天台宗では「十界」といって人間の心の状態を地獄界、餓鬼界、畜生界、修羅界、人界、天界、声聞界、縁覚界、菩薩界、仏界の十段階に分けています。

<十界の基本性質>
地獄界:恐怖に苛まれた状態
餓鬼界:目の前の出来事にとらわれた状態
畜生界:動物的欲求にとらわれた状態
修羅界:争いによって解決しようとする状態
人界:平常心もしくは疑心暗鬼の状態
天界:人間としての喜びを感じる状態
声聞界:仏の教えを学んでいる状態
縁覚界:仏の教えに頼らず、自力で悟ろうとする状態
菩薩界:仏の教えを広める状態
仏界:悟りを開いた状態

 後半の仏の教えに関してはともかくとして、恐怖、固執、本能、争い、疑心暗鬼などは誰もが体験しています。そして、そうした体験は他ならぬ自分自身の心が引き寄せています。ところが私たちは、その仕組みになかなか気づけません。そもそも私たちが自分自身の思考を認識していないからです。批評家の小林秀雄は「水の中にいる魚は自分が水の中にいることに気づかない」と言いました。

いじめられるには“理由”がある


 いじめられていた子供が転校したにもかかわらず、転入先の学校でもいじめられてしまうケースがあります。これは不適切な思考の結果です。せっかく転校しても「またいじめられるんじゃないか」と怯えてしまうと、その怯えが言動やしぐさに表れます。ろくでもない人間はどこにでもいるので、その言動やしぐさが彼らの目に留まり、「こいつなら何をやっても逆らわない」とタカを括られて、またいじめが始まります。

 もちろん「いじめられるほうにも責任がある」という考えは慎重に取り扱わねばなりません。言葉は言う人によって、意味合いが大きく変わります。「いじめられる方にも責任がある」と加害者が開き直ったり、第三者が論じるのは言語道断です。

 しかしいじめられた本人が「自分にも責任がある」と考えれば、そこに過去を乗り越えようとする気概が生まれます。これまでに何度かそうした相談を受けたことがありますが、子供の状況が好転するどうかは「良いか悪いか」ではなく、自分の心の状態に気づかせられるかどうかが鍵になります。

 心の状態が現実に反映されるのは、子供だけに限らず大人も一緒です。たとえば自分が行く先々トラブルを起こす人がいます。Aさんと話しても揉める、Bさんと話しても揉める、Cさんと話しても揉める。あるいはA社で揉め事を起こして会社を辞めて、再就職したB社でも揉め事を起こしてまた会社を辞めて、さらに再々就職したC社でもまた揉め事を起こしている。

 このようにいつまでたっても状況が改善しない人は、相手が悪いと考えます。Aさんが悪い、Bさんが悪い、Cさんが悪い。そして、自分は悪くない。しかし、誰と会っても、どこに行っても揉めるなら、そのすべてに関わっている自分に理由があると考える方が妥当です。そんな風にどこかの瞬間で、「あれ、ひょっとして自分に責任があるんじゃないか?」と気づいた時に、人生は変わり始めます。

 私たちはそれが当たり前であれば当たり前であるほど、それに気づけなくなります。病気になって健康のありがたさに気づきます。断水になって、蛇口を捻れば水が出るありがたさに気づきます。停電になって、スイッチを押せば明かりが点く電気のありがたさに気づきます。そして自分にとって最も当たり前なのが、自分の思考と感情です。だから、私たちは自分の思考と感情を知っているようで知りません。

次のページ 
気づいたことはメモしよう

1
2





おすすめ記事