私たちは自分の思考、そしてその思考を生み出している自分の信念に気づかない限り、無自覚にその影響を受け続けます。床に落ちているバナナで足を滑らせるのは、実際に踏んでしまうまでバナナに気づかなかったからです。踏んでしまう前にバナナに気づけば、避けて歩くなりゴミ箱に捨てるなりして、滑べって転ばずに済みます。 　大切なのは好ましくない思考が現実化する前に、自分の思考に気づき修正することです。そして、好ましい思考が現実化するように、自分の思考に気づき強化することです。すべての変化は心から始まります。 　こうした自分自身の思考、そしてその思考を生み出している信念を把握するためにあるのが「気づきのメモ」です。まず自分が体験した出来事について、何をどう思ったか、何をどう感じたかに気づく。そして、その思考と感情によって喚起される、全く別の過去の出来事に思いを馳せる。すると、その複数の出来事に共通する自分の信念が把握できるようになります。「汝自身を知れ」という名言がありますが、こうして私たちはそれまで無自覚だった自分自身について理解し、自覚的に人生の舵取りができるようになるのです。 コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』（扶桑社）が発売中