仕事

人は意外と自分のことがわからない。自分の思考のクセに気づく方法

「気づきのメモ」とは?

 家族、仕事、恋愛、趣味。日常生活の諸々の出来事を通して、私たちの心にはポジティブなこともネガティブなことも含めて様々な思考が浮かんできます。普段はそれを垂れ流して終わりなのですが、その思考を呼び水にして、さらに過去の出来事に想いを馳せるのがポイントです。すると「現在の出来事」と「過去の出来事」に共通する自分の信念が見えてきます。  私たちは信念が変わらない限り、同じことを繰り返します。Aさんと揉めた時に「Aさんが悪い」と考えて、そこでBさんともCさんとも揉めて「Bさんが悪い」「Cさんが悪い」と考えた過去の経験が浮かんでくれば、「自分は悪くない。相手が悪い」という信念が自分にあることに気づきます。人間が変われるのは、そんな自分に気づいた時だけです。一度気づけば、次からは「私はまた人のせいにしてるかもしれない」と注意できるようになります。

考えるだけでなく文字にすることが重要

 この気づきの過程はただ頭で考えるだけでなく、文字に起こして記録する過程が欠かせません。心は大きく分ければ「思考」と「信念」の二層構造ですが、信念自体がさらに何層もの階層になっています。自分の持って生まれた感性、両親や一族全体で受け継いだ考え方、過去の成功や失敗から教訓が複雑に入り組んで出来ています。シンプルに「これ」と把握できるものではないので、丹念に記録して追いかける必要があるのです。  また頭の中で気づいてわかったつもりでも、実際に文章にしようとすると、まるでまとまらない場合も珍しくありません。その状態はやはりまだ理解が足りていません。思考が現実化するには、ある程度矛盾が解消されている必要があります。ですから、この「現在の出来事→出来事から浮かんだ思考→思考に喚起された過去の出来事→現在と過去に共通する信念」という過程を記述すること自体が、物事を実現できる思考を育むトレーニングにもなります。  メモというと、私たちは相手の発言や、相手との約束の日時や数量といった内容を連想しがちです。確かにそれも重要ですが、もっと大切なことがあります。それは他ならぬ自分自身です。自分にとって一番大切なのは自分です。しかし、なぜか私たちは自分についてメモをすることはありません。それが「自分のことがわからない」「自分が何をしたいのかわからない」「自分に自信がない」という、「自分のブラックボックス化」を招く原因になっています。  本当はわかっていないものを、わかったつもりになって放置するから、次第に手がつけられなくなります。部屋に住む以上、掃除は必要です。ほったらかしにしていたら、どんどん散らかってしまいます。心も一緒です。自分自身が住んでいる自分の心にもっと気を配りましょう。自分が普段どんなことを考えているのか、そしてそれはどんな信念から生まれているのか。気づきのメモを通して心と向き合うと、人生がままならない理由がわかり、望んだ方向に舵取りできるようになるのです。 佐々木
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

人生を変えるマインドレコーディング

人はなぜ続けることができないのか? 続けるには「信念」が必要だ!

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