元中学教師の官能小説家「現役の教員時代、学園モノばかり書くことに罪悪感はありました」
今でこそ官能小説一本で生計を立てる橘氏だが、実は元中学校教師という異色のキャリアを持っている。作家デビューが決まったのも、職場の中学校での会話がきっかけだった。大学時代に生まれて初めて書いた官能小説が未完のまま放置されていたのだが、好意を寄せていた同僚の女性教師に読んでもらったところ、「面白いじゃない。完成させて出版社に応募したら?」と好リアクション。それが処女作『ロリータ粘液検査』(マドンナメイト文庫)となる。32歳の話だ。
「しばらくは二足の草鞋を履いていたんですけどね。でもエロを書きつつ教壇に立つことに、ずっと罪悪感を覚えていた。ましてや当時の私は学園モノばかり書いていたから、なおさらです。もちろん小説はフィクションだから、法律的に問題があるわけではないんですよ。だけど、道義的にどうなのかということで……。教師か? 官能小説家か? 本当にやりたいのはどっちなのか? 片道30分の通勤中にいつも自問していましたね。生活の安定とか、そういうことはあまり頭になかったかな。最終的には『もし明日死ぬとしたら、どちらで人生を終わらせたいか?』と考え、39歳のときに教師を辞めました」
現在、橘氏は年間平均10冊ペースで単行本を上梓している。自己最短記録として、2週間で1冊を書き上げたこともあるという。これら書き下し作品に加えて『週刊ゲンダイ』と『週刊大衆』で連載も抱えているのだから、驚異的な制作ペースと言っていい。自宅にいるときは居間のソファでノートパソコンを広げ、テレビをつけっぱなしにしながらキーボードを叩くのが基本の仕事スタイル。ネットを見る時間などもあるので常に執筆しているわけではないが、それでも1日10時間程度はパソコンに向かう毎日だという。
「今のところ、官能小説を書くことに飽きたことは一度もありませんね。むしろ、これからやれることはいくらでもあると感じています。今はこの業界もどんどん変わっている時期。やっぱり同じことばかりやっていたら自分もワクワクできなかっただろうし、そういう意味では恵まれているのかなと思います。自分は官能小説の世界で“職人”になりたいんですよ。相手から依頼があったら、その要望にちゃんと応えて、ビシッと納品するようなイメージ。そして職人として、この仕事をずっと続けていけたらと思います。どこかに到達するというより、続けていくことを目指していきたい。そうしたら、その先に見えてくるものもおのずとあるでしょうしね」〈取材・文/小野田 衛〉
橘 真児◎たちばな・しんじ。1964年、新潟県生まれ。96年に作家デビューを果たす。これまで学園モノから農村モノまで幅広いジャンルの官能作品を執筆。近刊に『女盛りの島<新装版>』(竹書房)、『蘇えれ!淫狼』(双葉社)など。趣味はギター集めと改造。
『人妻刑事(ひとづまデカ)』◎クールな沙樹と癒し系の真帆。タイプは違うが、ともに美熟の三十路妻である。「人妻刑事」と名付けられた2人は秘密捜査官の任務に従事。色気を武器に次々と難事件を解決していくが、売春組織に潜入した際、沙樹が捕らえられてしまい窮地に……! エロスとアクションとユーモアが交錯する橘氏ならではの警察官能小説。
―[官能小説の逆襲]―
出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。 1
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