国民総コンテンツの時代。ただの飲み会がコンテンツになり得る
柴田:「牛がとにかく好きだ」みたいに、「え、そこ?」みたいな好きな分野で、なり手が少なくて、需要があるものって、才能ですよね。今までの文脈で言うと、変人っていう括りになっていたと思うんですけど。
高瀬:需要がなくても、今はそれを見つけてもらえるようになった。発信していれば、小さくてもどこかに需要があるから。
柴田:そうですよね。
高瀬:インターネットの本質は、世の中に広げることじゃなくて、世の中のニッチとニッチをくっつけることだから。出会えない、小さなコミュニティをくっつけること。
柴田:僕もそう思います。
高瀬:みんな良かったね。好き勝手に生きている人は、テクノロジーに救われてるよ。20年早く生まれてたら、やべーヤツだから(笑)。
柴田:増えていきそうですよね。それでいいんだってことがわかっちゃえば。
高瀬:でも、その先がわかんないよね。全員そうなったら、どうなっちゃうのっていう。
柴田:国民総コンテンツ時代ですよ。
高瀬:そうなると、また新しい言葉が必要になるな。国民総コンテンツになった先のことを考えておいた方がいいかも。
柴田:珍しくなくなるわけですもんね、それが。
インターネットの本質は、世の中に広げることじゃなくて、世の中のニッチとニッチをくっつけること。今、好き勝手やってる人はテクノロジーに救われてる
高瀬:今、すごくいい話してる(笑)。
柴田:飲んで話してるだけなんですけどね(笑)。
高瀬:国民総コンテンツって言えば、飲みの場をひたすら公開するっていうサービスを作ったらどうかと思って。要するにライブ配信なんだけど。友達とか同僚とかと飲んでる様子が、いたるところで片っ端から配信されてて、暇な人がそれを観るっていう。視聴状況に応じて、ポイントか何か入ってきて、何かに還元される、みたいな。酔っぱらってる人の話ってけっこう面白いし、ぜんぜん観れちゃう。他人のプライベートを覗き見したいって感覚は普遍的だから。
柴田:新橋チャンネルってやったら、会社の悪口だらけで、大変そう(笑)。
高瀬:めちゃくちゃおもしろいじゃん。カオスだけど。例えば、起業家とか憧れの業界の人も本音って聞きたい。慶應に入りたいと思ったら、慶應生の配信も見ると思うし。
柴田:ただの飲み会がコンテンツになる。何なら、飲み代がペイしちゃうかもしれない。
高瀬:たしかに。だって、世界中で「飲み屋の話」が一番おもしろいもんね。トランプとイヴァンカの飲み会とか、超聞きたいじゃん。
柴田:言えない話が多いですよね。
高瀬:大丈夫じゃない? 炎上気にしない時代になってきてるし。言っちゃうよ、みんな。酔ってるから。方々で燃えれば話題にもならない。今日だって大概のことしゃべってたよ(笑)。
高瀬敦也
株式会社ジェネレートワン代表取締役CEO。フジテレビのプロデューサーを経て独立。音声と写真のコンテンツプラットフォームアプリhearrの企画やマンガ原作・脚本制作、アイドルグループ、アパレルブランドのプロデュースを手掛けるなど、幅広いコンテンツプロデュース・コンサルティングを行っている。著書に『人がうごく コンテンツのつくり方』(クロスメディア・パブリッシング)
柴田泰成
ソラシードスタートアップスタジオ代表パートナー。楽天、リクルートを経て独立。サムライト株式会社を設立し代表取締役を務める(2016年に朝日新聞社に売却)。同時に独立系VCソラシード・スタートアップスの代表を務め、シード投資や共同創業を15社以上実行する
<取材・文/高橋孝介 撮影/Coji Kanazawa 取材協力/恵比寿でですけ>