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Instagramのストーリー発・バイトテロ事件が増えた理由/鴻上尚史



とにかく目立つしかない中途半端な男たち


 誰にでも「承認欲求」というのがあります。もちろん、僕にもあるし、あなたにもあります。

 周りから認められたいし、認められたら嬉しいです。

 ツイッターでの、承認欲求の誇らしい満たし方の代表例は、ナイスな文章を書くことです。

 もちろん、残念な満たし方は、批判したり、絡んだり、極端な正義のツイートをぶつけることです。

 それなりに承認欲求は満たされますが、完全に喜ばしい満足ではないと思います。暗い喜びというか鬱屈した情念というか。

 その点では、自分が体験した笑える話や感動話、またはネタがたくさんリツイートされてコメントをもらえるとみんな、正しく満足します。

 インスタグラムは、文章ではなく写真です。

 イケメン君や美人さんには、もってこいのメディアです。

 そんなに美人さんでなくても、かわゆい小物やファッションをがんばれば、承認欲求を満たしてくれるコメントがつくことが多いです。

 が、男にはこの道がなかなかありません。

 パーフェクトなイケメン君だと、自分の写真をアップするだけで、いろんな反応がもらえて、承認欲求が満たされるでしょうが、中途半端な顔の男達が、小物やファッションで承認されるという状況はなかなかないでしょう。

 そうすると、ナイスな文章は書けない、批判とか絡むだけのネガティブな行為もイヤだ、でもこれと言ったルックスじゃない、という男の場合は、15秒の動画のストーリーで、「とにかく目立とう!」という形で承認欲求を求めてしまう道にはまってしまう可能性があるのだと思います。

 手軽に満たした「承認欲求」は、あっと言う間に消えます。

「特定班」の人達の情熱と能力は、真っ当な方向に使えば、ナニモノかを生み出し、正しい「承認欲求」を満たすことになると思うんですけどねえ。

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この世界はあなたが思うよりはるかに広い

本連載をまとめた「ドン・キホーテのピアス」第17巻。鴻上による、この国のゆるやかな、でも確実な変化の記録





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