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Instagramのストーリー発・バイトテロ事件が増えた理由/鴻上尚史

― 連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―

承認欲求のお手軽な充足ともったいない「特定班」の能力


 どうして急に、おでんを口にして吐き出したり、調理中の生魚をごみ箱に捨てて戻したり、値段シールを顔に貼り付けたりという「バイトテロ」というか「バカッター」事件が、今頃になって多発しているのかと思ったら、インスタグラムのストーリー機能を使ったものがほとんどでした。

 なので、厳密な意味では「バカッター」事件ではなく、「ストーリー発バカッター化」事件になるわけです。

 二つの意味で、今回、増えたのだと思います。

 ひとつは、もちろん、「ストーリーは24時間で消える」という理由です。

 ネットに上げたらマズいと分かっていても、24時間で消えるのなら、なんとかなるんじゃないかと思ったんでしょう。

 もうひとつは、「ストーリー機能」という「ニューメディア」への好奇心です。

 数年前の「バカッター」事件も、間違いなく、ツイッターという新しいメディアへの好奇心が引き起こしました。

 逆に言うと、多くの人の好奇心を強烈に刺激するようなニューメディアでなければ消えていくということでしょう。

 しかし、いくら24時間で消えるとしても、危ないという「想像力」は働かなかったのかと、残念に思います。

 前回の文章、「子供を持って初めて幼児虐待のニュースが胸を引き裂くように感じる」という経験の結果、僕自身の想像力は、作家のくせにたいしたことないなあと思ったのですが、ネット世界のこのヤバさは想像がつきます。

「バカッター」事件の時も、多くは友達限定の「鍵アカ」でした。それでも、見つかるのです。「特定班」と呼ばれる人達ですね。

 いったい、どんな嗅覚で、友達限定の「鍵アカ」からも、24時間で消えていく「ストーリー」からも、ヤバい動画を見つけ出すのでしょうか。

 たいしたもんです。

 感心してはダメなんだけど、その手腕に唸ります。あっという間に、住所も名前も勤務先も特定していくでしょう。

 その能力と情熱をそんなことに使っていいのか、ものすごくもったいないと心底思います。

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とにかく目立つしかない中途半端な男たち

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この世界はあなたが思うよりはるかに広い

本連載をまとめた「ドン・キホーテのピアス」第17巻。鴻上による、この国のゆるやかな、でも確実な変化の記録





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