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二次元から三次元へ…目端の利く人は次の動きをみている

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第98回

ビジネス 私たちは常に直感を求めています。論理的思考には限界があり、アイデアやインスピレーションがなければ、ビジネスやクリエイションで突き抜けた結果を出すことはできません。しかし、どうすれば直感を生み出せるかというと、なかなか判然としません。「瞑想をすると、直感が冴える」といった話くらいがせいぜいです。

 直感を生み出すのは精神の回転運動です。そのメカニズムが一番わかりやすいのがファッションです。ファッションの世界は、「太いシルエットが流行り、細いシルエットが流行り、また太いシルエットが流行る」あるいは「シンプルが流行り、装飾が流行り、またシンプルが流行る」といったトレンドを繰り返しています。

 単に繰り返すのであれば、それは往復運動です。しかし、以前のトレンドが再び流行するとき、前回とは異なる部分があります。なぜならファッションは自身を取り巻くその時代のアート、音楽、建築、外国文化などを取り込んで表現するからです。ほかの文化を巻き込めるのは、それ自身が回転しているからに他なりません。

 これはあらゆる文化、集団、そして個人に当てはまります。私は相談業を仕事にしていますが、「どうしてそんなに相手のことがわかるんですか?」と驚かれることがあります。時には「少し怖いです」と言われることすらあります。

 種明かしをすれば、驚くようなことも、怖がるようなこともありません。私はただ「自分にも同じようなことがなかったな」と昔のことを思い出しているだけです。人は誰でも悲しみを経験しています。私が昔経験した悲しみを、相手は今経験しているにすぎません。しかし、相手はそこに自分のヒントを見出します。

 過去を振り返る習慣は、なにも目新しい考えではありません。「温故知新」ということわざは小学生で習います。茶人の千利休は「稽古とは、一より習い十を知り、十よりかへる、もとのその一」と言いました。人類の歴史そのものについても、「歴史は繰り返す」と言われています。

 しかし、その回転運動はただ二次元的に同じ所をぐるぐる回っているのではありません。それは三次元的に螺旋を描いています。五年前の自分の悲しみを、目の前の相手のために思い出すのは、自分自身に五年前よりも高い視点を作り出しています。その高さの次元が成長であり、その視点から生まれる洞察が直感です。

 螺旋的な成長は、その過程で他者を巻き込みます。あらゆる個人、集団、文化、つまり人類の文明はそれぞれが回転し、お互いを巻き込み合う渦(ボルテックス)によってダイナミックに発展してきました。

 ところが最近はそのダイナミズムが停滞しつつあります。人間があまりにも物事を平面的に認識しているからです。平面的な認識は、立方体のような多面的な三次元を想像させ、それが直線によって構成できると考えるようになります。

 そこから発想される運動も直線運動になり、人々が作るコミュニティもお互いが直線で結ばれるネットワークになります。また本来は三次元的に螺旋を描いている回転運動を平面的に捉えてしまい、「同じことを繰り返しているだけ」と軽視します。

 本当の認識は二次元的な平面ではなく、三次元的な球体です。そして、球体を構成するのは曲線であり、そこから発想される運動は回転運動になります。また、人々が作るコミュニティはお互いを巻き込み合う渦(ボルテックス)になります。

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現代の平面的、直線的、ネットワーク的な世界観は限界

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