更新日:2023年03月28日 09:53
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アードナホー、ブナハーブン、カリラ…写真でオススメする聖地アイラ島のウイスキー蒸留所&飲み処

入り江にたたずむブナハーブン蒸留所

 次に向かったのが、ブナハーブン蒸留所です。北部の入り江にひっそりとたたずんでおり、バスでは来られない場所でした。ブナハーブン蒸留所は1881年に設立され、当初はブレンデッドウイスキー用のスモーキーなウイスキーを作っていました。しかし、1963年にポットスチルを増設した時に、ピートをほんの少ししか炊かない(2ppm以下)ノンピートのウイスキーを作り始めました。ピート香が特徴のアイラウイスキーですが、ブナハーブンだけ異彩を放っているのです。  クルマで向かっている途中で、ガイドのクリスティーンさんが電話でツアーを予約してくれました。本来は駆け込みでビジターセンターで試飲するのが関の山だったのに、ありがたいことです。

静かな入り江に面するブナハーブン蒸留所

 ちょっと驚いたのですが、蒸留所ツアー中に撮影が禁止されているところ度々ありました。ブナハーブンではポットスチルのある部屋だけでしたが、他の蒸留所ではほとんどNGのところもあります。もちろん、指示に従うしかないのですが、蒸留所によって対応がまちまちなので法律で決められている、という説明は眉唾でした。  せっかくなので、ブナハーブン蒸留所の設備でウイスキーを製造する行程を紹介します。最初に、原料の大麦を発芽させて乾燥させた麦芽をミルマシンで粉砕します。

麦芽を粉砕するミルマシンです

 破砕したモルトはマッシュタンに移されて、お湯を入れて麦汁を作ります。容量は12.5トンとスコットランド最大級とのことです。胴部分はステンレス、上部は銅でできています。この麦汁を発酵槽(ウォッシュバック)に移します。発酵槽は6つあり、一つに6万6500リットル入ります。そこにイースト菌を入れて3~4日発酵させるのです。部屋には甘いビールのような香りが充満しています。  その後、ウォッシュスチルと呼ばれる最初のポットスチルに移してアルコールを沸騰させ、蒸留します。まずはアルコール度数20度くらいのローワインができあがり、それをスピリットスチルで2度目の蒸留を行い、アルコール度数65~70度のニューポットができあがります。このニューポットに水を加えてから、樽に入れてウェアハウスで熟成されるのです。

粉砕した麦芽をお湯で糖化させるマッシュタン

麦汁を発酵させてアルコールを生み出す発酵槽です

銅製のポットスチルで2回蒸留を行います。この写真は倉庫の外から許可を得て撮影しました

樽に入れてウェアハウスに貯蔵します

 見学が終了すると、ビジターセンターに移り、試飲タイムです。アイラ島に入って、1杯目のアルコール。30年近く憧れていた、アイラウイスキー蒸留所1発目の試飲です。限定品をたっぷり入れてもらい、窓越しに穏やかな海を見ながら飲むのは感動モノでした。  ショップではフェスティバルボトルが売られていたので、即購入しました。今回、何も考えずに6月上旬に突撃したのですが、実は5月最終週から6月頭にかけてアイラ島ではウイスキーフェスティバルが開催されています。この期間中は、クリスティーンさんいわく「クレイジー」なほど混雑するので避けた方がよいとのことですが、そこで用意されるフェスティバルボトルが売れ残っている場合、ビジターセンターで購入できることがあるのです。  アードベッグのフェスティバルボトル「ドラム」は全世界で発売され、ラフロイグの「2019 LAPHROAIG CAIRDEAS トリプルウッド」もネットで購入できます。しかし、それ以外のフェスボトルは現地でしか購入できません。偶然ですが、6月上旬はベストタイミングだったのです。とはいえ、クレイジーなほどの盛り上がりは体験してみたいので、次は余裕を持って手配し、フェスに合わせて来ようと思っています。

ブナハーブン蒸留所のビジターセンター。ウイスキー3本をはじめ大量のお土産を購入しました

種類とか量とか一切細かいことにこだわらず何でもいくらでも試飲させてくれて、ほろ酔いになりました

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名門カリラ蒸留所のあとはボウモアのバーへ
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お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる

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