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実際に行ってわかった「スモーキーなウイスキーの聖地アイラ島」の楽しみ方<準備編>

― 30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン第53回 ―  スコットランドのアイラ島にある蒸留所で作られるウイスキーの多くは、ピート(泥炭)を燃やしてモルト(大麦麦芽)に香りを付けています。そのため、できあがったウイスキーもとてもスモーキーになるのが特徴です。このピートの香り、初見では正露丸とかヨードチンキとか煙臭いと感じて敬遠しがちなのですが、ウイスキーを飲み続けていると癖になり、しまいには一番好きになる人も多いのが特徴です。  筆者もアイラ島のアードベッグが一番好きで、行ってみたいと思っていました。毎年、今年はアイラに行こうと決めるのに行けずということが繰り返され、今年3月の年度末に仕事がとても忙しくてストレスが溜まったときついに爆発し、何も考えずに6月にアイラ島行きの飛行機を取ってしまいました。

ピート香が特徴のラフロイグやアードベッグ、ラガヴーリンはアイラ島のウイスキーです

 海外旅行は慣れているので、どうにでもなるだろうと考えたのですが、アイラ島の蒸留所巡りをするならもうちょっと調べてから動くべきでした。軽く検索するだけだとアイラ島巡りの情報がほとんどなく、深く正確な情報を調べられなかったのです。そこで今回は、実際に行ってわかった、スモーキーなウイスキーの聖地、アイラ島の楽しみ方(準備編)をご紹介したいと思います。

日本からの直行便はないアイラ島。その行き方は?

 まず、スコットランドのグラスゴーかエジンバラに行くことになりますが、そもそも日本からの直行便はありません。ロンドンのヒースローやUAEのドバイなどでトランジットすることになります。筆者は今年、JALのマイル修行をしているので、JALでチケットを取り、フィンランドのヘルシンキ経由でエジンバラに向かいました。エジンバラを選んだのは首都だからで、特に理由はありません。  以前はエジンバラからアイラ島に向かうにはクルマとフェリーを使うので大変だったのですが、2019年3月からLoganairが就航し、飛行機でサクッと飛べるようになりました。車であれば、グラスゴーより遙かに遠いので、大変なことになるところでした。  午前10時40分成田空港発で14時間35分かかってエジンバラに着きました。8時間の時差があるので、当日の17時15分に到着。アイラ島へはそのまま飛べないので、ここで1泊する必要がありました。翌日、昼過ぎのフライトでアイラ島へ。フライト時間は1時間ほどでした。  ホテルも直前に取ったのですが、繁忙期らしく、なかなかいいところが見つからず、Booking.comやExpediaを利用して、なんとか予約しました。良さそうなところのうち、一番安い宿にしたのですが、それでもなかなか高かったです。エジンバラ空港近くのホテルで101ユーロ(1万3800円)、アイラ島のBnBは2泊で396ユーロ(5万4100円)と一人旅にはきつい金額でした。これも、ずっと前に計画して予約しておけば、もう少し安くなったことでしょう。

直行便がないので、1日でアイラ島に着くことはできません。筆者はヘルシンキで乗り継ぎでした。写真はヘルシンキ空港のムーミンカフェ

 致命的だったのが、蒸留所のツアーです。適当に突撃して、タイミングのいいツアーに参加しまくろうと思っていたのですが、「知人から予約したほうがいいよ」、とアドバイスを受けました。そこで、各蒸留所のツアーをチェックすると、すべて埋まっていました。

アイラ島をまわるなら事前に蒸留所ツアーの予約を!

 アイラ島に行くのであれば、一番先に行きたい蒸留所のツアーの時間を確保してから旅程を構築し、ツアーの予約をしてから、飛行機やホテルの手配をすることをオススメします。蒸留所のツアーも適当に予約するわけにはいかないのです。45分~1時間で済むライトなツアーから、施設見学なしでテイスティングだけを行うツアー、そして水源までのハイキングも含む4~5時間コースなど多種多様です。価格も、10ポンド(1367円)程度から100ポンド(1万3674円)を超えるものまであります。  蒸留所間の移動時間や休憩時間も考慮し、午前中はラフロイグ、次は近くのラガヴーリン、食事はアードベッグで、カリラは遠いので翌日にしよう、というふうに予約を組み立てましょう。もちろん、ツアーに参加しなくても、すべての蒸留所にビジターセンターがあるので、お土産を買ったりウイスキーを試飲することは可能です。  アイラ島には8+1カ所の蒸留所があります。南東の海岸にアードベッグ蒸留所、ラガヴーリン蒸留所、ラフロイグ蒸留所があり、中央にボウモア蒸留所、北東にブナハーブン蒸留所とカリラ蒸留所、北西にキルホーマン蒸留所とブリックラディ蒸留所があります。さらには、最新のARDNAHOE蒸留所がブナハーブン蒸留所とカリラ蒸留所の間にできています。頑張れば、2泊3日ですべてまわることができます。もちろん、筆者もこのすべてと、今はなきポートエレン蒸留所の跡地を巡ってきました。

蒸留所のホームページからツアーを予約できます。画面はキルホーマン蒸留所です

 今回もっとも致命的だったのが、移動手段です。軽く調べたところ、バスが走っていることがわかりました。タクシーもあり、自転車をレンタルしているところもあるそう。どうにかなるだろうとエジンバラに着いてから、タクシーのチャーターを探したのですが、軒並み満車で手配できませんでした。それはそれで安く済むのでいいかなと、バスの時刻表を手に入れて予定を組もうとしました。しかし、まず1~2時間に1本しか走っていないことがわかり焦り始めます。日曜日には運行もしていません。さらに、最寄りのバス停まで数kmあることもざらなうえ、そもそもたどり着けない蒸留所もありました。

アイラ島のマップです。PORT ELLEN蒸留所は1983年に閉鎖され、PORT CHARLOTTE蒸留所は1929年に閉鎖されました

 国際免許証を持ってくればレンタカーという手もあったのですが、それでは試飲ができませんし、そもそも持ってきていません。レンタルサイクルも実際にどこで借りられるのかが調べられないうえ、南北40km、東西30kmの島なので縦横無尽に動くには距離があります。アイラ島はアップダウンが激しいので、運動不足の筆者では踏破できないでしょう。
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